【銀魂】もずのめ【高杉晋助】

百三十八匹 ページ38

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「は、本当に似合わねーな」


え、と目を開くと、晋助様は私の髪に黒い蝶々を付けていた。


「えっ……と……？」

「そりゃ俺にくれたもんだろ？なら俺のもんを誰にやろうが俺の勝手だ」


つまり、いらなかったって言う事だろうか。
まあ、確かにねぇ。


「俺ァ、流石に髪留めは使わねぇよ。それに」


そこで言葉を切ると、彼は微笑んだ。
ビイドロ玉のような瞳が朝日にキラキラと輝いて。
まるで、少年のような笑顔だった。


「こんな物なくったって、俺はお前を忘れねぇ」


私は笑った。
なんだ、バレていたのか。
忘れて欲しくない。連れて行って欲しいという小さな弱音が。


「流石晋助様ですね。お見逸れいたしました」


ははは、と笑うと、彼はまた朝日を見た。
憂いてる表情でもない。
睨みつけている訳でもない。
ただ、穏やかに朝日を見ていた。
私も彼の視線を追って、さっきよりも少し高くなった太陽を見る。

沈黙だ。
しかし苦ではない。
静かで、この世にまるで二人だけになったような。
どこまで優しい沈黙。

その中でゆっくりと晋助様は口を開いた。


「……愛してるよ、A」


驚いて思わず見上げると、晋助様はやはり朝日を見ていて。
そのまま、でも少しだけ目尻を下げて笑った。

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