【銀魂】もずのめ【高杉晋助】

百三十三匹 ページ33

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ふと目を覚ます。
ぼんやりとした頭のまま起き上がると、掛けてあった布がパサリと音をたてて落ちた。


(……晋助様の、着物……？)


キョロキョロと辺りを見廻すも、持ち主の姿は何処にもない。
ええと、考えろ。


(……昨日は、そうだ。号泣したんだっけ)


で、晋助様に慰められて……そのまま泣き疲れて眠ってしまったと。
思わず顔を手で覆う。
なんという、なんという失態。
泣き疲れるってなんだ。子供か。
うわあああ、晋助様にどんな顔で会えばいいのコレ｡
恥ずかしすぎるんだけど。


(……で、羽織を掛けてくれたのか)


優しい人だ。
後で、洗って返さないとな……

何の気なしに羽織を抱き寄せて、ギュッと抱きしめる。
……ああ、キセルの匂い。

ふと思い立って、立ち上がった。
羽織を持って、申し訳程度に置かれた姿見の前に立つと、ああ、目尻が少し赤くなってる。

ふわりと彼がいつもしているように肩に掛けてみた｡


「ふっ……」


茶色の髪と茶色の目を持った女が、派手な紫を纏う姿は思わず吹き出してしまう程滑稽で。


「あはは！似合わない」


これがおうのさんのように黒髪黒目、色白の美人さんだったらきっと絵になるんだろうなぁ。


結局、私は何処まで行っても彼の隣に立てる存在では無かった。
絶世の美女でもない。
銃も剣も使えない。
仕事が出来ると言ってもそんなもの。
参謀の武市さんと比べたら足元にも及ばない。
誇れるのは、三味線の腕だけだ。

そんな私を、彼はお飾りとはいえ妻にしてくれた。
仲間として認めてくれた。

恩は返さないといけない。
忠義は尽くさなければならない。


私はもう泣きませんよ、晋助様。
一生分泣きました。

だから、だからもう大丈夫です。

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