百二十二匹 ページ22
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彼は、翌日の深夜に帰ってきた。
眠れず、電気も付けずに三味線を爪弾いて、ぼうっと闇夜を見詰めていた時だった。
ギィィと静に自室のドアが開き、真っ黒の着物に、返り血を浴びた彼が顔を覗かせる。
「……おかえりなさい」
「……あァ、今帰った」
晋助様はドカリと座布団に座る。
暗闇の中キラキラと光る翡翠の一つ目は、何時ぞやの日より疲れた色をしていた。
濃い、血の匂いがする。
彼は何も言わない。
静かに私の三味線を聞いている。
それに答えるように、私は三味線を弾いた。
その時、ボソリと静かな呟きが落ちた。
「……どうして俺は、生き残っちまったんだ……」
バチを握りしめる。
そんなの、と口をつきそうになった言葉を必死て飲み込んだ。
そんなの、あなたに生きてて欲しい人がいたからに決まってるじゃないか!
本当にそれがわからないの?
ならあなたは本当に愚かね!
救いようのない馬鹿だわ!
唇を噛む。
……言えるはずが無いかった。
だって彼は、わかった上で
生き残りたくなかった、と。
そう思わずには、居られないのだから。
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沖田レイア(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!! (2020年10月30日 22時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 大好きです! (2020年10月30日 19時) (レス) id: 8fe1bbaad8 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 夜遅くに失礼します。 続編と同時進行で見ているのでだんだんと話が繋がってきてわくわくしています! 高杉さんとの関係がとても綺麗でとても好きです! 体調に気を付けて更新頑張って下さい! (2020年7月29日 0時) (レス) id: 857664c7be (このIDを非表示/違反報告)
夢逢 - 夢主料理の下手さにとても笑いました。本当に面白いですね!また子ちゃん優しいですね。ギャグも大好きです!沖田君の登場楽しみにしています。続きも頑張ってください。応援してます。 (2020年7月10日 14時) (レス) id: d1c06098b7 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 夢逢さん» コロナウイルス減らないですね……負けないように頑張ります!170cm組かぁ……沖田は続編には出ると思います。ただ三人の絡みは無いかも知れません……170cm組大好きなんですけどね、なかなか…… (2020年7月1日 19時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年6月13日 3時