【銀魂】その死に意味と花束を【高杉晋助】

どんな眼差しも愛しくて ページ5

.





そこには貴方が居た。

誰よりも愛おしく、誰よりも狂おしい貴方が。

かすり傷をいっぱいに作りながら周りに指示を飛ばす姿は、直ぐににじんで見えなくなった。

私の大好きな人が、大切な人たちに囲まれて笑っている。

なんと幸せな事だろう。

生きてて良かった。
心から思った。

翡翠色の瞳がチラリとこちらを。
明らかな敵意と疎外感を含んで。

ああ、あなたもそんな目をするんですね。
私はとうとう理解した。
どうやら、頭の可笑しい事が起きているよう。

唇を静かに噛んだ｡
血が出る。痛い。
落ち着け、と目を閉じ深呼吸を一つ。
目を開けると、丁度晋助さんがこちらに向かって歩いて来る所だった。
もう、なんだ。
仕方ない。
唇舐め、笑顔の仮面を貼り付けて。

「こんにちは」

眉をひそめ、険しい顔した貴方。
わかってはいたけれど結構傷つくなぁ。

「誰だ？テメェ」

「さぁ？誰でしょうか。自分でもよくわかりません。確実にわかっているのは名前だけ。AAです。短い間ですが、よろしくお願いします」

切れ長の目が、さらにきゅうと細くなる。
その目、さっきの坂田さんとまるで同じなんだもん｡

寂しいなあ。そして、悲しいなぁ。

貴方だけにはそんな顔して欲しく無かった。
なんて、ね。

仕方ないのよ、仕方ない。
だって貴方は私を知らないのだから。
知らない人が居たら警戒するでしょう？

私だって馬鹿じゃない。
学はないけど、そこまでの無能じゃない。
何となく理解したわ。

ここは過去。
ここは戦場。
どういう事か、私は過去に来てしまったらしい。

ああ、本当に頭が痛い！

決断→←絶対零度の

今日一番貴方を癒してくれる高杉

キセル高杉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す