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ある日 ページ25

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読み書きそろばん。
私に出来るのはそれくらい。
そしてその出来る書きさえも難しい漢字は書けなかった。
だから、ほぼ託児所。
まぁそれでも構わない。
子供は大好きだしね。

「先生!」

「なぁに?」

「どうして人間は戦争するんですか?」

あまりのことに目をぱちくりした。
十三の子から出てくる言葉とは思えなかった。
とりわけ勉強熱心な少年のまあるい頭を撫でた。

「難しい質問だね。君ばどうしてだと思う?」

「……わ、悪いやつが居るから?」

「確かに、それもあるね」

悪い奴が悪い事をして、正義の味方がそれを止める。もちろん悪いやつは聞く耳持たず。
そこから争いが生まれることもあるだろう。

「それを勧善懲悪と言うんだよ。しかし、争いの理由はそれだけじゃない。これは持論だから、全部を受け止めてはいけないよ?」

「うん」

笑った。
この少年は私がこれから言わんとする事の意味を理解出来るだろうか。
しかし、頭のいいこの子の事だ。
いずれは理解し、戦慄するだろう。

「例えば、私が花は秋に咲くと言ったら君は反論するだろう。花は春に咲くものだと。そこで喧嘩になる」

「う、うん。でも、花は春に咲くでしょう?」

「所がどっこいそうでも無いんだ。秋に咲く花はある。……そういう事なんだよ。正論と正論のぶつかり合いが激しくなったものが戦争だ」

「でも、花は春に……」

「秋に咲く花だってあるんだよ……ほらねこういう風に」

だから、永遠に戦争は無くならない。
教育や価値観が違う限り永遠に人は争い続けるんだ。
……さすがにそこまでは言わない。
しかし、いつか気がついてくれるといい。

「……そろそろ帰りなさい。親御さんが心配しているよ」

バイバイと手を振り返す。
あぜ道の先、小さくなった背中を見て思う。

(松陽殿も……こんな感情だったのだろうか)

比べるなんておこがましいけれど。


さわりと風が吹いた。
江戸は郊外の夕焼けである。
長く伸びる影。



あれから数年が経っていた。

命日→←孤独に独白


今日一番貴方を癒してくれる高杉

キセル高杉


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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月13日 17時) (レス) @page29 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - tさん» ありがとうございます!本当にいつも励みになっております! (2019年6月16日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
- 言葉にならないほどサイコーでした! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 98ce886fc4 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - こんな勝手な駄作者に暖かいコメントを書いて下さって本当にありがとうございます!もう、本当に神様です (2019年6月3日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - こんなにいい作品をありがとうございました! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 99b24daa8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年2月24日 20時

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