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その言葉を私は信じる ページ16

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「月が綺麗ですね」

「何、お前死ぬの?」

曖昧に微笑んで隣に立った。
白い着流しに身を包んだ彼は何処か寂しそうで。
白い鬼と謳われるにしてはあまりにも不釣り合いなその姿に少し笑った。

「坂本のバカが出てくってよ」

「はい」

「はいって…驚かねぇの?」

「うーん、坂本さんは優しいから」

「俺達は優しくねぇって?」

「いいえ?皆さんとっても優しいと思いますよ。」

「ほぉ」

電波だけど思いやりのある桂さん。
口は悪いけど誰よりも仲間思いの晋助さん。
仲間の為に命すら賭ける坂田さん。
大切なものを守るために苦渋の決断をした坂本さん。

皆とってもいい人で。
だからこの世界が嫌いなんだ。
皆が皆誰かを想いあった。
誰かの為に頑張った。
なのに。
それなのにこの世界は。

「………いっつも苦痛ばかりを強いる」

こんな世界壊れてしまえ。

「A?」

晋助さんにこれ以上辛い思いをさせるのなら。

「おい、A?」

私がこの手で……っ!

「おい!A!」

「っ!………な、何ですか?」

いきなり肩を揺すられて驚いた。
どうやら自分の世界に入ってしまっていたらしい。
坂田さんが心配そうな顔でこちらを覗き込んでいる。
大丈夫ですよ。
安心させるようにへらりと笑った。

「無理すんなよ」

ぽんぽんと撫でられた頭。
ビックリして勢いよく顔を上げると優しく微笑む赤い目があった。

「さ、坂田さん…」

「ん?俺に撫でられるのがいやか?」

ぱっと離された手。
慌てて首を振る。

「い、いえ!でも、あの、坂田さんは私の事嫌いなものだと思っていたので」

「最初は嫌いって言うより警戒してた」

はい

「でも、あのチビがお前に懐いたってことはまぁ俺も警戒しなくてもいいのかなぁって」

あのチビ…晋助さんか。
静かに苦笑した。

「信頼してるんですね、晋助さんの事」

「なっ!別にちげーしー、信頼なんてしてねー」

「嘘つけ。信頼はしてるでしょう?」

「うぐっ…まぁそりゃ。なんだかんだ言って強えし、絶対に裏切らないとも思ってはいるけどよ…」

もじもじと銀髪を揺らす坂田さんに声をあげて笑った。何笑ってんだと私を小突いたあと坂田さんも笑った。






「ねぇ坂田さん」

「なんだ?」

「もし、もしですよ。晋助さんか桂さんが絶望の縁に立たされたら」

あなたはどうします?

少し考えてから坂田さんは言った。

「わかんねぇ。けど多分そばに居るかな」






私は何も言わずに公然と輝く月を見上げた。

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今日一番貴方を癒してくれる高杉

キセル高杉


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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月13日 17時) (レス) @page29 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - tさん» ありがとうございます!本当にいつも励みになっております! (2019年6月16日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
- 言葉にならないほどサイコーでした! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 98ce886fc4 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - こんな勝手な駄作者に暖かいコメントを書いて下さって本当にありがとうございます!もう、本当に神様です (2019年6月3日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - こんなにいい作品をありがとうございました! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 99b24daa8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年2月24日 20時

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