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はて、と目を瞬かせる。
確かに俺は銀時の腕の中で死んだはずだが……
(どこだここは。洞窟のような……?)
どうやら一本道らしい。
それにしても長い洞窟だ。
前も後ろも果が見えないとは。
(まてよ、なら何故明かりもないのに俺は足元や手元が見えるのだろうか)
不可思議な現象もここまで来ると疑いようもない。
アレだろう、アレ。
(あの世への道的な)
はぁ、とため息をついた。
わかりにくい。せめて花畑やら三途の川やらわかりやすいものを置いて欲しいものだ。
いや、しかし自分の格好をよく見ると真っ白な死装束。変な所にこだわりやがって。
俺に白は似合わねぇんだよ。
(……とりあえず、前に進むしかねぇな)
左手を刀の柄に置く。
ざっと地面を一歩踏み込むと履きなれた草履の感触。どうやら変えられたのは着物だけらしい。
まあ、土の上を裸足で歩かなくていいのは正直有難いが。
…………ん?
つい無意識の内だったが……
刀をもっててもいいのか?俺は。
きっと俺はこれから閻魔さんの裁きを受ける身だろうに。
(俺的には安心できるからありがてぇが……それにしてもそうか、コイツも俺と一緒に折れちまったのか)
少し寂しいねぇ。
まあ、ここまで来たんだ。黄泉路まで付き合ってくれや。十年以上の付き合いだろう?
どこからともなく大きな扉が現れて、俺は歩みを止めた。
優秀な直感に頼るまでもなく、この先に閻魔さん達がいるであろう事は簡単に予想がつく。
「さて、悪逆非道のテロリストにゃどんな罰が言い渡されるのかねぇ」
ギギギと嫌な音を立ててゆっくりと開く扉の前、仁王像のように立つ。
興味と少しの期待を湛えた、悪ガキのようだと言われた笑みを携えて。
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美結菜 - とても面白いです!続き楽しみにしています! (2023年2月13日 17時) (レス) @page17 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年5月15日 17時