四十九匹 ページ49
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「Aちゃーん、今平気?」
「あれ、おうのさん?大丈夫ですよ」
ギイ、と少しおずおずと開いたドアからおうのさんはひょっこりと顔を覗かせた。
すっごく珍しいお客さんだな。私の部屋にいらっしゃるのは初めてだろう。
「どうかされました?」
「いや……しん様が今日は誰も部屋に近づくなって」
ああ、と苦く笑った。
どうやら相当こたえていたらしい。
まあ、正直今まで悪趣味な事してた罰だとも思ってるけど。
こんなに追い詰められて居たとは……
少し可哀想になってきた。
「おうのさん」
「ん?なあに?」
「おうのさんは口が硬いですか?」
「遊女の口の硬さを舐めないで。そういうの徹底されてるから」
確かにおうのさんは天神……太夫の次に位の高い遊女さんだったから、お偉いさんの秘密とかをいっぱい知ったりするんだろう。
それを漏らさないように店側も教育を徹底してるのか。流石プロ。
「それじゃ、お話します。でも、くれぐれも内密にお願いしますよ」
「もちろん」
ふふふ、と笑いあって、それでは、と話し出す。
「おのぶさんに手を焼いているのは晋助様だけでは無いですよね?」
「あら、しん様の許可の元おのぶちゃんに仕返しが出来るって事ね」
その通りですと頷く。
「ただ、少々きつくお灸を据えますけど」
「あら、全然平気よ。私としん様の時間を邪魔した罪を償わせてやるわ。地獄の中でね」
おうのさんはとてもこの世のものとは思えない程の笑顔でニコリと笑った。
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時