四十五匹 ページ45
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ベン、ベベン、ベン。
また新しい曲が始まる。
懐かしいなぁ。芸妓だった頃はよく弾いていたけど｡
最近じゃあトンと弾かなくなった曲だ。
暇潰しで弾くには少し暗すぎる。
「そう言えば、ずっと聞きたかったんです」
「何がだァ？」
「どうして晋助様は私を妻になさったんですか？」
相応しい女も、寄ってくる女も……きっと腐る程居たでしょうに。
晋助様は、ちょっと黙って考えた。
「……美しいとおもった。一目惚れだ」
「それは光栄ですね。音を極めた甲斐があります」
「違う」
違う？
思わず顔を上げて晋助様をみつめる。
しかし三味線を弾く手は止めない。
翡翠色の隻眼がしっかりと私を見つめ返した。
「もちろん音にも惚れた。だが、俺が本当に惚れたのは……三味線を弾く、お前の姿に、だよ」
まっすぐ私を見つめながら緩く微笑む彼。
咄嗟に意味が理解出来なくて、ポカンと思わずバチを止めた。
かれは、三味線を弾く私に……
カッと顔に熱が集まる。
からかわれてるだけだと言うのは分かってる。
わかってるけど……
「あんまり乙女心を弄ぶと、後で痛い目にあいますよ！」
慌てて曲を再開する。
心臓はバクバク言ってるし、血管が切れたみたいに顔も熱い。
なんなんだちくしょう。
別に恋仲でも懸想をしてる訳でもないのに。
(どうしてこんなにときめくんだ)
ああ、しまった。
音が歪んだ。
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coma7672(プロフ) - すいません！前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます！更新楽しみにしています！！ (2020年4月7日 23時) (
レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖田レイア | 作成日時：2020年1月12日 19時
