四十二匹 ページ42
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コンコン、というノック音。
「はい、どちら様?」
「あ、A様。私っス。来島また子っス」
「また子ちゃん?いいよー入って」
失礼しまっス、と一言言ってから戸を開ける所とか、育ちの良さが出るよね。
きっと武市さんの教育がよかったんだろう。
さすがにあぐらから正座に座り直して、煙管の火を盆に落とした。
「煙草お吸いになられてたんスね。意外っす!」
「期間限定で解禁したの」
とりあえず座布団を進めて、また子ちゃんが恐縮しながら座るのを待つ。
「……それで?何かあったの?」
「あ、いえ!その、A様から休みたいって聞いた事が一度もなかったので……理由を聞きたくて」
ああ、と頷く。
確かに理由は知りたい所だろう。
理由も聞かず許可を出す晋助様の方が間違ってる。
「理由は簡単よ。おのぶさんの手柄がきちんとおのぶさんの功績になるようにしただけ」
まだ頭にハテナを浮かべるまた子ちゃん。
つまりね。
「私がおのぶさんの仕事をぶんどってるらしいのよ」
「はあ!?なんスかそれ!」
「私もよくわからないけどね」
「許せないっス!晋助様に言いき行きましょ!」
ええ?別にいいわよ、と笑うと、また子ちゃんは心底不思議そうに私を見た。
「A様は悔しくないんスか……?」
「悔しいというか……腹立つわね。だからこうして嫌がらせするの」
私はさらに笑みを深める。
きっと、意地の悪い笑みだろう。
「さて、何日持つか……見ものだと思わない?」
「や、やっぱりA様は敵に回したくないっス」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時