二十二匹 ページ22
.
おうのさんは口をポカーンと開けて固まってる。
どうやらもう死体達には意識が向いていないようだ。
普通はきっと卒倒するくらい残酷な様子なんだろうけど、それにすぐ慣れてしまうなんて。
そういう所を晋助様は気に入っているんだろう。
あの、変人好きの変人、高杉晋助は大体変人しか気に入らない。
幹部級を見てもらえれば明白だろうけど。
だから、母船に入るのを許された私やおうのさんにも絶対彼が気に入る変人ポイントがあったという事で。
自分ではよくわからないし、おうのさんのもよくわからないけど。
多分、こいうい所で少しずつ違っているのだろう。
いずれそれが大きな歪となって現れた時、変人になる。
「……え、待って待って。あなたはしん様を愛してないってこと?」
「愛は愛でも敬愛ですね」
「え、え、本当?神に誓える?」
「無神論者なのでなんとも言えませんが……本当に本当ですよ」
おうのさんがじっと私の目を見る。
私はそれを見つめ返す。
おうのさんは本当に綺麗な目だ。
やがて、ふとその目から鋭さが消えた。
「……うん。嘘をついているようには見えないわ。仕事柄、嘘には敏感なの」
「……わかって頂けたなら結構です」
「なんだ。私こそAさんを誤解してたわ。これからは仲良くしない?」
おうのさんはこちらの顔色を伺うようにおずおずと目線を合わせる。
「もちろんですよ。これからもよろしくお願いします。おうのさん」
「ありがとう。……ライバルだと思ってたとはいえ、今まではごめんなさいね」
私は被りを振る。
心から気にしてないから、おうのさんも気負わないで欲しい。
それに、若干そばに居ると嫌な顔されたくらいだし。
「いえ、むしろおうのさんが心から晋助様を愛したのが伝わってきてよかったですよ」
178人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時