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汚ったないボロアパート。
鍵なんてあってないようなものだけど、一応開けようとポケットを漁る。
(……?)
誰かが、喋るような音?
まるでテレビから流れてくるような……声じゃなくて音。
でも、ここに住んでる人はテレビ買う余裕なんて…
隣の、201号室前に立ってみる。
音は聞こえない。
私の部屋は端の部屋だ。隣は、ここだけ。
もしかして……
息を殺して裏にまわり、小さな窓を覗く。
「あ……」
ヒュッと喉がなる。慌てて口を押えた。
幸い、あの男が私に気付いた様子はない。
落ち着こうと詰めていた息を吐いく。
奴はケータイで動画を見るのに必死らしいから、今のうちに逃げなければ。
なるべく、静かに……
抜き足差し足忍び足。
アパートの敷地を出ると、私は走った。
とにかく人の多い所へ。
そうだ、駅に行こう。
あそこなら、あそこなら。
人がいる。
人がいっぱい居る。
きっと、そのうちの誰かなら。
私を助けてくれるかもしれない。
十分間走って、ようやく駅前広場。
汗だくで、息も上がってて。
涙瞳いっぱいに溜めた女。
そりゃそうだ。
誰も相手にしないだろう。
事実、通り過ぎるおっさんはギョッとしてこちらを見るが、早く帰りたいのか見て見ぬ振り。
……帰宅ラッシュの、時間だもんな。
早く帰りたい人で溢れてるに決まってる。
(でも、家には帰れない……)
バックからケータイを取り出す。
……高杉先輩から頂いたやつだ。
まさか、こんな使い方をする日が来るとは。
電源つけて、電話のアイコン。
高杉先輩……
「…………」
指は、その一つ下を押す。
何故か、どうしてか本当にわからないけれど。
今の私を、彼に見て欲しくない。
『もしもし、Aか?どうした?』
「土方先輩…………助けて……」
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黒川紫光(プロフ) - キュンキュンしてます!これからも頑張って!続き楽しみにしてます! (2019年12月26日 2時) (レス) id: de2b78e93f (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 七重さん» ありがとうございます!励みになります……これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月18日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
七重 - とってもこの作品面白いです!作品作り頑張ってください! (2019年12月18日 16時) (レス) id: cdecf486aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年12月11日 20時