14.5 ページ15
.
「俺ぁよ、あきらめが良すぎるんだ」
どうにかなんねーかなーと愚痴られた記憶がある。
攘夷戦争中盤の、まだまだ酒が手に入った時代だ。
あの野郎は剣交えた半分でもいいから一緒に酒が飲みたかった、なんぞと抜かしやがったが、覚えてないだけで、実際結構飲んでいる。
ほんと、あいつは馬鹿だ。
閑話休題。
「諦めらんねーもの探しゃあいいじゃねぇか」
「それが特に無いから困ってんでしょーが」
「へぇ、松陽先生の奪還もか?」
「い、いきなり核心!?」
そういう事じゃなくてさーと酒を煽る。
銀時は絡み酒だ。
正直うぜぇし、際限なく飲み続けるから、ゲロの片付けをするのは大抵ザルの俺だった。
今思い出しても腹立つ。
またもや閑話休題。
「俺さー誰が死んでも、翌日には笑えんだよね」
「誰が死んでも?それが松陽先生でもか?」
「多分」
思わず手を止めて凝視する。
そんな簡単に諦められる事ならば、なんで戦に参加した?
怒りでもない、純粋な疑問。
「……俺、てめぇの前で死ぬわ」
「え、なんで」
「だってよ、死ぬのに一人は寂しいだろ?でも、やっぱトラウマにしたくねーじゃん。ほら、てめぇがうってつけだ」
「どーゆー理論よ、それ……」
一人では死にたくない。
なんでだろう、漠然とそう思う。
戦場で、冗談抜きに死ぬ、と思った時でも、すぐそばには仲間がいたから怖く無かったのかも知れない。
でも、多くの奴は人の死に心を痛める。
その傷は深く、長く苦しめてゆく。
そんな思いはさせなくない。
仲間なら尚更に。
「悲しまねぇで、看取ってくれるんならありがてぇもんだ」
……だから、てめぇの前で死にたかったのに。
何泣いてんだよ。
泣きっ面なんか、もう十分だ。
笑え。
落日、もう日が落ちるぞ。
14人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
望月向日葵.(プロフ) - もう無理です…!!!また泣いちゃった…!親から変な目で見られます(笑) (2019年8月16日 16時) (レス) id: cbea831bd6 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 亜水さん» コメントしてくれて、そして褒めてくれてありがとうだぞ、コノヤロー! (2019年8月15日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - また泣いた。どうしてくれんだ、コノヤロー。嬉し泣きだ、コノヤロー。ありがとう。 (2019年8月15日 22時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 月紫さん» ありがとうございますぅぅぅぅ!これからも頑張ります! (2019年8月10日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
月紫 - もうボロ泣きですぅぅぅぅ!てか殺しません生きてくださいぃぃ!((殴 …これからも頑張ってください! (2019年8月10日 22時) (レス) id: 01c6b0b3f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年8月8日 16時