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"自分"の事でこんなにも悩んだのは何時ぶりだろう。
もしかしたら今まで悩んだ事なんて無かったのかもしれない。
それくらい、俺の中で俺はどうでもいい存在だった。
や、まぁ、今もなんだけど。
「どーしたもんかね……」
ポツリと零した声に、返ってくるのは蝉の声だけ。
それはそうだ。
わざと人気のない所に居るんだから。
逆にこんな所で声をかけられたら、おばっ……スタンドだと勘違いしてビビっ……ビックリしてしまう。
「はぁ…あのチビの事で俺が悩むとかマジないわー」
これが紛れもない、本心だ。
悩みたくない。
てか、考えたくない。
そんなのは俺の仕事じゃないし、どうせ考えた所でいい案なんて浮かんで来ないのだから。
だから、作戦とか分担とか配置とか、頭使う系は全部ヅラと高杉にお任せしてたのに。
「これァ俺の問題だからなぁ……」
誰の決定でも無い、自分自身の。
ボリボリと痒くもない頭を搔く。
いつか禿げそうで辞めたい癖なのだが、無意識のうちにやってしまう。
あのクソチビと、まぁ、松陽かも知れないけど……と会っても会わなくても、俺の未来は変わらない。
変わらない強さ、なんて言うけれども。
俺は逆に変わる強さを持ってねぇ。
何も無かったように、自分を、他人を、騙し騙し生きていく事しか、俺には出来なかった。
今も、例外ではなく。
「どうしてぇのかもわからなくなっちまうなんざ、自分に嘘をつくもんじゃねぇな」
会いたいのか、会いたくないのか。
正直、どっちでもいい。
会っても、俺は俺だし、会わなくても俺は俺だ。
頭の悪い自分にため息を一つ。
北斗心軒と書かれたのれんを少し上げ、ガラガラと戸を開ける。
「よォ、ヅラ」
「ヅラじゃない、英霊志士オバZだ!なんだ銀時、貴様が来るとは珍しい」
「……鬼兵隊残党が明後日万事屋にくんだと。会いてぇなら来い。以上だ」
「おい!それは……」
「わからねぇってよ、どっちかは。容姿はまんま小憎たらしいチビらしいけど」
ヘラ、と笑う。
別に楽しい訳じゃない。
ただの癖。
何も言わなくなったヅラに、クルリと背を向ける。
きっと、一人で考えたいのだろう。
特に、最期を共に来なかったこいつだからこそ。
「辰馬にも連絡しといて。俺アイツの電話番号知らねー」
ヒラリと手を振って、店の戸を閉めた。
飯屋に入って何も食わないとか、アレだけど。
あんまり誰かと一緒に居たくねぇなぁ、ってのが本音だったりする。
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望月向日葵.(プロフ) - もう無理です…!!!また泣いちゃった…!親から変な目で見られます(笑) (2019年8月16日 16時) (レス) id: cbea831bd6 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 亜水さん» コメントしてくれて、そして褒めてくれてありがとうだぞ、コノヤロー! (2019年8月15日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - また泣いた。どうしてくれんだ、コノヤロー。嬉し泣きだ、コノヤロー。ありがとう。 (2019年8月15日 22時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 月紫さん» ありがとうございますぅぅぅぅ!これからも頑張ります! (2019年8月10日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
月紫 - もうボロ泣きですぅぅぅぅ!てか殺しません生きてくださいぃぃ!((殴 …これからも頑張ってください! (2019年8月10日 22時) (レス) id: 01c6b0b3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年8月8日 16時