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青年は笑った。
しかし、それはニコリという微笑みではなく。
見る者の背筋を凍らせるほど冷たい。
面白くなりそうだ、と思う。
いい暇潰し、もしくはそれ以下だけれども。
どうせ、生まれた時から人生は勝ち組なんだ。
法に触れない限りは何しても許される。
いや、法に触れてもある程度ならもみ消せるか?
……ああ、全くつまらない。
面白くない。
イージーモード過ぎるのは困りものだ。
さて、と。
学生服のポケットからスマホを取り出す。
学校のデータベースにアクセスして……
そこで考える。
三年、では無いだろう。
見たことの無い顔だった。
一年、でも無いな。
新入生は屋上に来て叫んだりしない。
ならば、二年か。
ずらりと並んだ顔写真の数々に目を滑らせる。
一組、二組……ああ、こいつか。
ほんの少し吊り目の瞳。
化粧っ気こそ無いが、白い肌。
きゅっと真一文字に結ばれた唇。
少し癖のある黒髪は胸元まで伸ばされていて。
名前をAAと言うらしい。
いかにも意思の強そうな女。
男ウケはしないだろうが俺は人として嫌いじゃない。
逆にいくら男ウケする奴だろうと軟派な奴は嫌いだ。
勿論顔が好みだったならば穴として使ってやるが。
そのままホームに戻り、電話アプリを起動。
ハ行には一人しか居ないため、迷うこと無くその男にかけた。
静かな屋上に響くコール音は三回で消える。
「よォ、頼みがあるんだが。……二年二組のAAについて調べて欲しい……ああ、合法非合法は問わねーよ。ただししくじるなよ……ああ、ああ、わかった。資料はプリントアウトしておいてくれ」
お互いに長電話する質ではない。
ので、通話時間は三十秒。
意思疎通が素早く出来るということはいい事だ。
まぁ、以心伝心まで行くとさすがにキモ……
そこまで考えて、一瞬とある馬鹿が頭をよぎる。
いや、アイツは別。
付き合いが長いし、馬鹿だから頭の構造が単純なだけだ。
断じて違う。
想像しただけで吐き気がするくらい違う。
…………何考えているんだ、俺は。
ク、と笑みが漏れる。
本日の俺は面白いものが見られて機嫌がいいらしい。
ふと、空を見上げた。
青い。バカみてぇに青い。
素晴らしい天気だ。
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ASUKA - 沖レイさん、頑張れぇぇぇええ!!!!!私もテストなんです、一緒にがんばりましょー! (2019年9月28日 23時) (レス) id: 2aeb894d27 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 沖レイさん、テスト頑張って下さい!私の気力、全部差し上げます!!私、みえました。沖レイさんにむかって推しが応援している姿が!! (2019年9月20日 23時) (レス) id: a39d20f6cd (このIDを非表示/違反報告)
トオ - とっっっても面白いです!!頑張ってください! (2019年8月28日 6時) (レス) id: c0c29da7c2 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - Nightさん» 圧倒的ハピエン……ありがとうございます!参考になります! (2019年8月23日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - のあさん» 死ネタは泣きますよね!コメントありがとうございます (2019年8月23日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年7月15日 18時