【銀魂】ラブコメとは言わせない【高杉晋助】

第三部 不審者は恩人編 ページ12

.





…………ああ、だぁめだ。
思わずノートの上に突っ伏す。


「……集中出来ん……」


数学を解くにしても、英単語を覚えるにしても、生徒会の三文字が頭にチラついて邪魔をしやがる。

……今日はもう勉強を諦めて普通に読書してしまおうか。うん。それがいい。
どうせ今のまとまらない頭じゃ、何を考えたって無駄なんだし。
それにたまの息抜きは必要だよ。

ノートとテキストを閉じて。
本を探しに席を立つ。

本棚を行き来して、さて、何を読もうか。

何故人間はゴキブリを嫌うのか……題材としては素晴らしいが、うん、哲学書だったわ。
ふつーに生物の本がよかった。
おっ！戦術の本質。
面白そう。

そこではたと気がついた。
珍しい。
この時間帯に人が居るなんて。

一番奥の、一番隅に座って読んでいるものだから全く気が付かなかったなぁ。
もしかしたら私が気付いて無かっただけで毎日居たのかも？

……まぁ、限りなくどうでもいいんだけれども。

本を本棚から抜こうとして……抜けない。
……ああ、たまにあるよね。
本がぎっちり詰まってる事。

ため息ついて、手に持っている数冊の本を置き｡

はい、せーの！
奥義・CHY☆KA☆RA☆ZU☆KU！

それでも本は抜けません。
大きなガブじゃあ無いんだからさ。
とっとと抜けてよ。

もう一度、奥義！
Aちゃんのマックスフルパワーで……
死ねや、本棚ぁ！


「…………あ、やべ」


結末を言うと、残念ながら本は抜けなかった。
どんだけギチギチに詰まっていたんだと怒鳴ってやりたい。
……まあでも。
ちょぉっと力込めすぎちゃいました？

此方に倒れてくる本棚。
バタバタと落ちる本達。
避けられないし。

ああ、このまま下敷ですか！
無様ですね！
ご愁傷さま！

これこそホントの人生オワタ。

思わずぎゅっと目を瞑る。
無駄な抵抗だとしても、体を固くして痛みを待つ。
だって怖いもん！
死にたくないもん！





「……ったく、あぶねーな」

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す