☆ ページ13
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「……ったく、あぶねーな」
えっと顔を上げると、本棚は額スレスレで止まって居て。
ゆっくりと元の九十度に戻ってゆく。
た、助かった。
思わずペタンと尻餅をつく。
怖かった。
死んだかと思った。
「怪我ァしてねぇか」
「は、はい。大丈夫です」
そうか、と顔を覗かせた殿方は、うわ、イケメン。
ちょっと驚いたような顔を一瞬したけれども、イケメン。
つーか、何処ぞのラブコメやこれは。
図書室で?
本棚倒れてきて、イケメンが助けてくれる。
何処にでもありそうなラブコメ、もとい三文文学。
「立てるか」
「あ、どうも」
伸ばされた手を借りて立ち上がる。
いつもはそんな事しないんだけどね。
今は急に緊張して、急に安心したせいで膝がガクガク。
致し方ないのよ。
決してラブコメじゃ無いから。
「ありがとうございました」
「ああ、気にすんな。それよりも本戻さねぇと」
「あ……」
そう言えば。
後ろを振り向くと散らばった本、本、本。
「下校時間も近ぇし、俺も手伝うから。とっとと終わらすぞ」
「あ、りがとうございます……」
片付けまで手伝ってくれるとは。
いい人やん。
イケメンと金持ちは嫌いだけど見直しちゃった。
本を拾って、番号と作者名を見ながら棚に戻してゆく単純作業。
そんな中でもイケメンは絵になるんだな。これが。
本を取ろうとしゃがんだ時、男なのに私より綺麗な、少し紫がかった髪がふわりと揺れるのがイケメンなんですわ。
あ、ごめん撤回する。
このクラスのイケメンになるともうね。
開脚前転してもイケメンだよ。
腹立つ。
「……この時間、図書室にいるなんて珍しいな」
「え?いっつもいますよ?」
「そうなのか?俺も結構な頻度で居るが……」
「あそこの机で勉強してます」
「ああ、そこならお互いに見えにくい位置だなぁ」
……ほんとにイケメンは顔だけじゃなく声もいいんだから羨ましい。
神はこの人に万物を与えすぎなんだよ。
半分…いや、半分の半分でもいいからうちに分けてくれ。分けてください。
隣のイケメンにバレぬよう密かにため息をつきつつ,
単純作業に励むAちゃんなのであった。
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ASUKA - 沖レイさん、頑張れぇぇぇええ!!!!!私もテストなんです、一緒にがんばりましょー! (2019年9月28日 23時) (レス) id: 2aeb894d27 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 沖レイさん、テスト頑張って下さい!私の気力、全部差し上げます!!私、みえました。沖レイさんにむかって推しが応援している姿が!! (2019年9月20日 23時) (レス) id: a39d20f6cd (このIDを非表示/違反報告)
トオ - とっっっても面白いです!!頑張ってください! (2019年8月28日 6時) (レス) id: c0c29da7c2 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - Nightさん» 圧倒的ハピエン……ありがとうございます!参考になります! (2019年8月23日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - のあさん» 死ネタは泣きますよね!コメントありがとうございます (2019年8月23日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年7月15日 18時