検索窓
今日:2 hit、昨日:18 hit、合計:406,701 hit

宵三十三 ページ33

キンッと、鉄と鉄がぶつかったような音が響く。

驚く暇も与えてはくれず、童磨はAの腕を掴もうとするが、すぐさま避ける。



__散り蓮華



「楽しませておくれ」

追い討ちをかけるように、Aに向かって氷の花弁が咲き散った。


「ッ」

「凄い凄い!もしかして全部捌こうとしてる!?頑張り屋さんだね!!」



宵の呼吸は、ほぼ一撃必殺のようなものである。護りに特化した技は、宵の呼吸にはない。

となると捌くか避けるかの二択だが、今彼女の背後には、重症のカナエがいる。



「避けたらカナエちゃんに当たるもんねぇ。回避できる攻撃を受けるなんて、感動するなぁ」



Aの身体に容赦なく突き刺さる氷の花弁。刺さった場所からは、血がだらだらと流れる。

そんなAを見て、でも、と童磨は付け加える。



「その前に君が死んじゃうよ?体中が冷たくて、痛いだろうに……」



「A……ちゃん……逃げ、て……」

「ほらほら、カナエちゃんも言ってるよ?俺は優しいから、今ならさっきの言葉を取り消してあげよう」



「提案を受けるって、言うんだ」



差し伸べられる手が、過去と重なる。

『お前は幸せ者だ』

まるで何かに取り憑かれたかのように、肩が重くなって。

『だから、己ではない誰かを守れ』

飾りきった言葉は、Aの手を動かす。



「さあ、おいで……Aちゃん」



__パチンッ



「え?」

素っ頓狂な、童磨の声。


「いま、何したの」


見て分からなかったのか。

払い除けたんだ。

そんな明らかに怪しい手を、誰が掴む?お母さんに言われなかった?怪しい人には着いていっちゃ駄目だって。


なんて心の中ではボロクソ言っているが、一言も伝わっていないのがなんとも虚しい。まあ要約すると、



『ばーか』



である。時間稼ぎに使わせてもらったという意味を込めて、Aは微笑んだ。


「やってくれるねぇ。全部芝居だったんだ」


いやこれのどこが芝居に見える?体中にグサグサ氷が刺さってるけど、どうしてくれるの?


残念ながら、これも一言すら伝わっていない。



「はぁ……もう夜明けも近いなぁ」


うんうん、だからさっさと帰っておくれ。体が休息を求めてるんだ。

視界はふわふわしてるし膝は笑ってるし、大変だなこりゃ。





「カナエちゃんだけでも、救ってあげないとね」

「……」





何言ってんだこの鬼。

宵三十四→←宵三十二



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (412 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
880人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 原作改変   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

息抜き(プロフ) - カカさん» コメントやお星様までありがとうございます、頑張りますね(*_ _) (2020年1月14日 1時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カカ(プロフ) - 主人公の周りのキャラの優しさが滲み出ててすごいよきです、、、。見る度にお星様を押してしまいます。更新の方無理をなさらずに頑張ってください! (2020年1月14日 0時) (レス) id: c193d50bb9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。私もコメントが来る度に飛んで喜んでます。頑張りますね<(_ _)> (2020年1月8日 18時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - とても面白くて通知が来る度 飛んで喜んでいます!これからも頑張ってください! (2020年1月8日 18時) (レス) id: c64457db9e (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります<(_ _)> (2020年1月7日 19時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:息抜き | 作成日時:2019年12月2日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。