【鬼滅の刃】幸せ者の胃は崩壊寸前

宵三十四 ページ34

瞬間、視界の端に残像が走る。


「ッ！！」

こいつの本気何段階あるんだよッ！！



何とか童磨の攻撃に食らいつくA。


「早く退いてくれよ。でないと俺が酷い目に遭うんだ、うぅ……」

「……」

泣き真似をする童磨を、刀越しに蔑すんだ。

「もー、そんな目しないでくれよ」



＿＿枯園垂り



至近距離からの不意をつく攻撃。鋭い対の扇はAの身体を斬りつけた。


「ぅ……」

「あれぇ？今声出したよねぇ？」


駄目だ、引き下がれない。後ろにカナエがいる。


「俺だけに聞かせてくれるなんて、嬉しいなぁ！！もっと聞かせておくれ！！」

「ぁがっ！？」

「あはは！！止められないねぇ！？攻撃も、声も！！」


宵の呼吸ッ！！伍ノか


「させないぜ？」

「ッ」


威力が無かったんだろう。伍ノ型を繰り出す前に刀を握られ、その上首を掴まれた。


「大丈夫大丈夫、喉は傷つけないよ。顔を見せてごらん」


子供をあやす様にAの前髪をそっと除ける童磨。じっとAの顔を見たあと、ぱあっと瞳を輝かせた。


「うんうん！やっぱり美しいなぁ。特に瞳！生きてるのか死んでるのか、分からない瞳だね！」

「……」

「あ、でも、君のこの長い黒髪も素敵だなぁ……」


何か私の容姿について語り出したんだけど。朝日が近いの忘れてるのか？

首を絞められているわけではないため、時間稼ぎには好都合だった。



「ねえ、Aちゃん」



再度目線を合わせられる。



「君らの敵は、俺だけじゃないぜ？」

「！！」



気づいた時には遅い。



「時間稼ぎをされていたのは、君の方だよ」




＿＿＿結晶ノ御子




童磨に似た氷の人形が、カナエに向かっていた。

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