宵三十 ページ30
辺りに充満する血の匂い。
「うぅっ……！」
抑えようにも漏れる悲鳴。
胡蝶カナエは、上弦の弐、童磨と対峙していた。
「あれぇ？もう終わりなのかい？」
無邪気な声音で煽る童磨。
「ま、だ」
「そうか……親の仇のために……。弱いのに、無駄なのに、頑張って偉い！！」
＿＿君は俺が食べるに値する！！！
ごめんね、ごめんなさい、みんな。……先に行くわ。
『カナエは優しいね』
「ッA、ちゃ……」
違う、違うの。私はただ、あなたの優しさに憧れただけなの。
上辺だけの付き合いだったかもしれない。親友なんて、そんな輝いた関係じゃなかったかもしれない。
けど、あなたに救われたことは、本当なの。
『大好きっ！』
「ッ！！」
そう、そうよ。Aちゃんはそんな風に笑ってたのよ。
私が諦めたら、Aちゃんは悲しむもの。貴方がまた、心の底から笑えなくなってしまうもの。
足に力を込め、刀を握り締めて、
「ええ〜？立っちゃうの？」
「……まだ、死ねないッ！！」
「そうかいそうかい。頑張る子は好きだぜ」
鋭い対の扇が、花と氷を散らす。
先刻と状況は変わらない。寧ろ酷くなる一方だというのに、カナエは一歩も引き下がらない。
愛する姉妹のため、親友のため。
カナエは信じている。必ず来てくれると、Aが助けに来てくれると。
だからそれまで、生きなければならない。
「ゴホッ……」
だが、劣勢なのは変わらない。カナエに情はあっても、童磨にそれは無い。
「ああ！一つ忘れていた！もう一人の女の子は、死んだよ」
既に立ち上がることの出来ないカナエを見下しながら、童磨は告げた。
「え……」
「俺は優しいからなぁ。心残りが無いよう、苦しまないよう�犁澆辰討△欧茲Ν瓠�
カナエの瞳が絶望の色に染まる。
視界いっぱいに童磨の掌が広がり、カナエに触れた……はずだった。
宵の呼吸 伍ノ型＿＿＿＿
カナエのではない、呼吸音。
「おっと！！」
悟らせる前に、赤を散らす。
＿＿＿＿春宵一刻！！！
夜闇よりも濃い一閃が、カナエには希望の光に見えた。
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息抜き(プロフ) - カカさん» コメントやお星様までありがとうございます、頑張りますね(*_ _) (2020年1月14日 1時) (
レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カカ(プロフ) - 主人公の周りのキャラの優しさが滲み出ててすごいよきです、、、。見る度にお星様を押してしまいます。更新の方無理をなさらずに頑張ってください！ (2020年1月14日 0時) (レス) id: c193d50bb9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。私もコメントが来る度に飛んで喜んでます。頑張りますね＜(_ _)＞ (2020年1月8日 18時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - とても面白くて通知が来る度 飛んで喜んでいます！これからも頑張ってください！ (2020年1月8日 18時) (レス) id: c64457db9e (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります＜(_ _)＞ (2020年1月7日 19時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2019年12月2日 1時
