【鬼滅の刃】幸せ者の胃は崩壊寸前

宵二十一 ページ21

「っくしゅん」

……誰かに噂されてる気がする、が。


今は目の前の事態が深刻である。ずずっと鼻をすすりもう一度現実を見てみる。



「うむ！！汚い！！」

目を背けたくなった。


焦点の定まっていない瞳に、炎のような髪。

Aの前にいる彼は煉獄杏寿郎、階級は甲。



で話を戻すと。

煉獄杏寿郎がAに向けて『汚い』と言っていたが、くしゃみをしたからというわけではない。


実は今日、煉獄杏寿郎と合同任務で。

連携のために宵の呼吸とはどんなものかと聞かれ、ほとんど闇討ちのようなものだと伝えたらああ言われたのだ。


「汚い！！が、そこがいい！！！」


多分恐らくきっと、彼は悪い人ではない。ただ馬鹿正直で、声がでかいだけだ。



「ところで禓黒殿！！」

いややっぱりでかいな。鼓膜が……

「光の呼吸を使う剣士はご存知ないか！！」

破れるどころの話ではなかった。


え？私この人と会ったことあるっけ。いやでも確かに、遺伝子レベルで似たような人とは会った気がする。

でももっとこう、眉がつり上がっていたような。


「うむ……頼れるのはその方しか居ないのだが……」


覚えがないと受け取ったらしい。残念そうに小声で呟いたあと、任務へとぼとぼと歩き出した。

まるで炎が鎮火したみたいだ。


うーん、でもこの人の気配は知らないからなぁ。


あまり深くは考えず、彼のあとを追った。




.*･ﾟ .ﾟ･*.*･ﾟ .ﾟ･*.*･ﾟ .ﾟ･*.



「禓黒殿！！鬼がこの先にいる！！」

「……」

「共に行こう！！」

いや声を出されたら私の呼吸が活かせな＿＿



炎の呼吸 壱ノ型



「！」

何かに気づいた様子のAも、構える。



宵の呼吸 壱ノ型



燃え上がる炎に紛れる、一閃の闇。



「不知火！！」

『闇討ち』



鬼は一瞬にして消滅した。

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