鳥居が＿＿＿ ページ6
．
生贄を村の方へ返して数日がたった。
もう数日。
されど､まだ数日。
こんなに贄の事を引きずってしまうとは､思ってもいなかった事だ。
＿＿＿＿何故､こんなに引きずっている？
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恥を抜きにして初めて床を共に過ごしたからか？
何も言わない､されど態度が優しさそのものだったからか？
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それとも､あの。
あの､直感で綺麗だと思えた､瞳に見られてしまったから？
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嗚呼､何処を探しても､引きずる理由が見えてくる。
自身の初体験の相手。
自分に優しく接した相手。
俺の事を､しっかりと見てくれた相手。
…オスマンは知らなかったが､人はそれを初恋と呼ぶ。
誰かを愛し､また､誰かに愛される。
しかし､妖怪は生涯パートナーを作らずに過ごす者の方が多い。知能の高い妖怪も､恋という単語､感情は知っていても､実際自分が恋に落ちてしまうと､気付かないものだ。
オスマンは自分の中で出た結論に対して､それではどう行動を取るのが正解かを考えようとした。
手っ取り早いのは贄をもう一度この神社に戻す事だろうが､自分から返しておいて寂しくなったからもう一回贄出してね。なんてそんな恥をかくのは御免だ。
それでは､神社の召使いとしてでは無く､そこら辺の野良鬼に姿を変え､贄を攫うか？
…これも御免である。
自分より下等な存在に紛れるなど､妖狐の恥晒しだ。
結局､いい案は出てこなかった。
はぁーと溜息をつき､硬く､薄汚れた板に身を預ける。
そこは日光浴が出来る所として野良狐や野良犬に人気なスポットであったが､今日はオスマンの気を察知したのか否か､一匹も姿を見なかった。
今日はもう､眠ってしまうか。
朦朧としてきた意識を､存分に甘やかそう。
瞼をおろし､尻尾で自分を隠すように丸め込む。
耳もペタンと下ろして､最低限の音を遮断する。
さぁ寝るぞと準備が完了したその時。
ジャリ､ジャリ。
＿＿＿＿＿小石を踏み､迷い無しに此方に向かってくる足音が一つだけあった。
期待など､させないでくれ。
ジャリ､シャリ。
段々と近付いてくるのが､足音でも､気配でも分かる。
シャリ､シャリ。
ピタッ。
そう鳴らして､足音は聞こえなくなった。
だけど､オスマンは分かる。
気配は､あの
生贄のものであると。
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幽遥(プロフ) - 時計さん» うー楽しんで頂けて何よりです!!確かにタグは入れた方が良かったですね…コメントありがとう御座います!! (2022年12月31日 7時) (
レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - 設定タグに男主入れた方がいいんじゃないかなぁ。(個人的に)やばい読むの楽しいw (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - わかりました！ご丁寧な対応ありがとうございます！ (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
幽遥(プロフ) - 時計さん» 最近のスマホはすぐ変換されてすげぇーとか思ってら普通に見逃してました…コメントありがとう御座います!!すぐ直して来ます!! (2022年12月31日 0時) (レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - あの…初コメでこれいうのどうかと思うんですけど…「とりあえず湯呑みをしたい」って湯浴みのことじゃないのかなぁって思いました。この作品の描き方が大好きで文章を読めばリアリティのある風景が頭の中に出てくるところがすごいなと思いました！ (2022年12月30日 23時) (レス) @page3 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幽遥 x他1人 | 作成日時：2022年12月29日 17時
