鳥居が五基 ページ5
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先程の足音は､あの生贄で間違え無いだろう。
なら､この地面に置かれている着物も､きっと彼が。
そう考えると邪険に扱おうとした自分が恥ずかしくなってきた。何千年と生きてるからと､人を分かった気になって､そして勝手に怖がって。
人ならざるものに生を受けた以上､人とは違う価値観を持って生まれるものだ。
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その価値観の先に､あの生贄は居るのだろうか。
その価値観の先に､俺を認めてくれる何かがあるのだろうか。
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あぁ､駄目だ。
あの生贄と出逢ってしまってまだ間も無いのに､余計な感情がもう芽を出している。そんな芽､直ぐに摘んでしまわねば。雨が降れば､一瞬で成長しきってしまう。
これ以上。あの生贄の行動に振り回されてはならない。
ならしなければいけない事など一つ。
生贄を､村に返そう。
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白い着物に腕を通し､腰をキュッと絞る。
尻尾に違和が残らないよう､丁寧に布の間から出す。
髪も緩く､下の方で縛っておく。
そして､昨日はつけていなかった狐の形をした面を目元に付ける。
そうすれば､人里に降りる時のオスマンへと早変わりだ。
尻尾も元の一本と､プラスで八本増やしておいた。
耳も何時もより大きくして一目見ただけで妖怪と分かるようにする。
準備が出来た後のオスマンの行動は早かった。
さっさと生贄を人里へ返す為､贄を気絶させ､背中に背負い整備されていない薄暗い森を突っ切り最短で目的地へと向かう。
日は丁度頭の上を登っていたが､木々が深々と生えている森ではその陽射しも意味を成さない。
オスマンが人里へ着いた時にも太陽は殆ど同じ場所で地面を照らしていた。なんと早いご到着であろう。
人里に着き､民家へと寄った瞬間､畑の近くで戯れていたちごに大声で泣かれてしまった。その事がきっかけで､代表者を呼び出す事に成功はしたが､何処か複雑である。
そして今は､狭い民家へと上がる事無く､逆に人里離れた所で話を進めている。背負ってきた生贄は､もう､ここにはいない。
「今年は､贄が居なくても良いという事を告げたはずだが」
「も…申し訳ありませんが､稲荷様。そんな事､私達は告げられてなど…」
「…気分が変わった。それだけの話だ。」
「…つ､つまりなんと仰られたのでしょう」
贄を､返させてもらおう。
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幽遥(プロフ) - 時計さん» うー楽しんで頂けて何よりです!!確かにタグは入れた方が良かったですね…コメントありがとう御座います!! (2022年12月31日 7時) (
レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - 設定タグに男主入れた方がいいんじゃないかなぁ。(個人的に)やばい読むの楽しいw (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - わかりました！ご丁寧な対応ありがとうございます！ (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
幽遥(プロフ) - 時計さん» 最近のスマホはすぐ変換されてすげぇーとか思ってら普通に見逃してました…コメントありがとう御座います!!すぐ直して来ます!! (2022年12月31日 0時) (レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - あの…初コメでこれいうのどうかと思うんですけど…「とりあえず湯呑みをしたい」って湯浴みのことじゃないのかなぁって思いました。この作品の描き方が大好きで文章を読めばリアリティのある風景が頭の中に出てくるところがすごいなと思いました！ (2022年12月30日 23時) (レス) @page3 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幽遥 x他1人 | 作成日時：2022年12月29日 17時
