花金鳳花が三輪 ページ18
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「お前も大概だと思うぞ」
そう言ってオスマンは尻尾を退け,自身の腰へと巻いた。
自分より長身な男を隠すとなると,一苦労するものだ。
あっちの方面は悪霊の気配がして危ないからと,Aを騙すような真似をして,向かう方を変えるよう誘導する。
俺が自由に見て行きたいのに何故指図を受けなければならないのだと心底不機嫌な顔でこちらを見られたが,耳を垂らして眉を困ったように下げてやればコロッと態度を変え,しょうがないなーっと言って進み始めた。
…ちょろい。余りにもちょろ過ぎる。
少し不安に思いながらも,オスマンはAの後を追った。
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「少し,奥に来すぎたかもしれないな」
「…真っ暗で何も見えないや」
「絶対手を離すなよ」
「…離したらどうなる？」
「……こっちが注意してやってんだから大人しく聞け」
辺りは先程とは打って代わり,険しい道が続いている。
草花は春とは思えない程茶色に染まっており,辛うじて生命を維持させている細々とした木々達も,放っておけば倒れてしまうだろう。その木々の葉から漏れる日光も,今は感じ取れない。
そんな危なく,暗い道を人間に任せるのは危機感が無さすぎると判断したオスマンは,Aの手をとり,先頭に立って光指す方向へと足を進めていた。
この山にずっと住み続けているオスマンでさえ,奥深くには余り行かないようにしているのだ。
暗くて陰湿な雰囲気よりも,明るく陽気な雰囲気の方が,何倍もマシだ。
最短距離を辿って太陽が顔を出す場所まで急ぐ。
この時,何事も無く帰れれば一番だったが,現実はそう甘くない。
いる。
気配は,かなり大きい。
どうやら,迷い込んできた人間の魂を喰わんとする妖怪がこの辺りに住んでいたらしい。
Aはきっと,もう見つかり目をつけられている。
どうしようか。
相手を払ってしまえばそこで危機は去るが,ここは穏便に事を済ませたい。
現世の者を,黄昏の世に帰すのは,かなりのリスクが伴う。
もし失敗してしまえばAの魂は取られるだろう。
相手は話の通じる妖怪だろうか？
もし,俺が選択肢を間違ってしまったら？
話も通じず,隙を見せてしまいAが魂を取られたら？
どうやら,自分からアクションを起こさなければいかないようだ。
「…すまんな。A。次は耳,塞いでてや」
「今日はいつにも増して俺に命令するじゃん」
「いーからいーから。はよしろや」
Aは渋々と言った感じで耳を塞いだ。
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幽遥(プロフ) - 時計さん» うー楽しんで頂けて何よりです!!確かにタグは入れた方が良かったですね…コメントありがとう御座います!! (2022年12月31日 7時) (
レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - 設定タグに男主入れた方がいいんじゃないかなぁ。(個人的に)やばい読むの楽しいw (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - わかりました！ご丁寧な対応ありがとうございます！ (2022年12月31日 0時) (レス) @page14 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
幽遥(プロフ) - 時計さん» 最近のスマホはすぐ変換されてすげぇーとか思ってら普通に見逃してました…コメントありがとう御座います!!すぐ直して来ます!! (2022年12月31日 0時) (レス) id: 28debb4860 (このIDを非表示/違反報告)
時計 - あの…初コメでこれいうのどうかと思うんですけど…「とりあえず湯呑みをしたい」って湯浴みのことじゃないのかなぁって思いました。この作品の描き方が大好きで文章を読めばリアリティのある風景が頭の中に出てくるところがすごいなと思いました！ (2022年12月30日 23時) (レス) @page3 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幽遥 x他1人 | 作成日時：2022年12月29日 17時
