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シワひとつないベッドの上に倒れ込むとゆっくりと目を閉じた。
壁一枚隔てた向こう側で聞こえるシャワーの水音が耳の奥に残って木霊する。
これから起きることをまるで他人事のように想像しているとマネージャーの言葉が何故だか突然頭を掠めた。
“身分をわきまえてね…”
何度もリフレインするマネージャーの言葉にイライラが募り、力任せに頭を掻き毟った。
「身分をわきまえろだ?俺は、俺だっつーの!!」
歯をギリギリと鳴らし、シーツをぐしゃっと掴んで汚した。
浴室から彼女が出る音がしてハッと我に返る。
しばらく無音が続いたが、突然ドライヤーの音が静かな部屋に響き渡った。
時計に目を移し、ジッと彼女が出てくるのを待った。
ガチャ…
ゆっくりとドアを開けてこちらを覗き込むようにして出てきた彼女は備え付けのガウンを身に纏い、顔を隠すようにそそくさとソファーに小さく俯きながら座った。
「何俯いてんの?笑」
A「普通にシャワー浴びちゃったから…」
そう言って両手を頰に当てた。
よく見ると、すっかりメイクが落ちて懐かしい俺の記憶の中の彼女が蘇った。
幼い表情に大人びたガウンがミスマッチで妙な興奮を覚えた。
「こっちおいでよ。」
ベッドから手招きをする。
それなのにしらばっくれたようにこちらを見る彼女に馬鹿にされてる様で腹が立った。
「こっちにおいでってば!」
発した言葉は自分が思ったよりずっと強く攻撃的なものだった。
流石に彼女も観念したのかゆっくりと立ち上がり、寝転ぶ俺の隣にちょこんと腰掛けた。
「ほんとに全部落としたんだねぇ笑 でもすっぴんのがずっと可愛い。」
上半身を起こして、わざとらしく顔をぐっとそばまで近づけたら指で彼女の頰を優しく撫でた。
透き通る様な素肌が指先に吸い付く。柔らかく滑らかな質感に胸がドクンと鳴った。
電気の灯りが彼女の瞳の中に美しくうつり込んで、それに誘われるように唇を近付ける。
いつまでも閉じられないお互いの瞳が至近距離で交わり、鼻先が触れたところで俺が折れた。
「目くらい閉じなさい。」
目が閉じきるまえに、薄紅色の柔らかな唇にそっとキスをした。
そして、現実から逃避するように…
部屋の灯りを全て消した。
それを合図に、俺は…自分勝手に彼女を犯した…
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時