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ホテルを出ると一台のワンボックスカーがハザードをたいて止まっていた。
少し近付くと窓が開いて懐かしい顔が見える。
長谷川「よお、二年ぶり!元気してたか?」
後部座席には知った顔があと二つ見えて、一気に高校の頃にタイムスリップした様だった。
「おう、何とかな…。お前らは相変わらずだな。」
多少大人びた雰囲気はきっと喪服のせいだろう。こんな形で再会する事になるなんて誰もが思いもよらなかっただろう。
手短に会話を終えて車に乗り込むとまっすぐ葬儀場へと向かった。
車内は静まり返っていた。
運転席の長谷川以外の二人も高2の時に同じクラスだった奴らで、そのうちの一人の片岡というヤツは吉岡と中学から同じだったらしく、ひとりずっと顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
「大丈夫か?片岡。」
余りの落ち込みように居た堪れなくなり声を掛けた。
片岡「大丈夫じゃねーかも…。」
泣き腫らした顔が哀しみの深さを物語る。
長谷川「雨、強くなってきたな…。」
車を叩く雨音がどんどん強くなる。斎場に着く頃には傘なしではいられない程の本降りの雨になっていた。
長谷川「行こうか。」
車から降り、降りしきる雨を避けるように足早に斎場に入った。中にはケンとカイトも居て、こちらに気がつくと笑顔で駆け寄って来た。
ケン「西島っ!!お前も来てたのか。」
ケンの大きな声で一気に視線が集まる。そして懐かしい顔ぶれがこちらに集まって来た。
カイト「お前、デビューしたんだよな?すごいな!」
気がつけばすっかり皆に囲まれて、一気に嫌悪感に苛まれる。
西島「場所わきまえろよ…」
それだけ言うとひとり綺麗に並べられた椅子に腰掛けて祭壇に飾られた笑顔の吉岡の遺影を見つめた。
最近撮られたものだろう。俺の知っている吉岡よりも大人びた雰囲気で、最後に見た時よりずっと
…ずっと格好良かった。
長谷川「19年だぜ?若すぎるだろうよ…」
ゆっくりと隣に座ると、鼻をすすりながら長谷川がポツリと呟いた。
ヤツは…吉岡の人生は、もう終わってしまったんだ…
真っ白な花々が吉岡の死をより鮮明に印象付けた。
胸が苦しくなり目線を逸らすと見覚えのある横顔が視界に入った。
そしてこの瞬間、俺はひどくショックを受けたんだ…
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時