息抜き俺得短編集2【アイ★チュウ】

つづき ページ22

「A！それって、それって俺のこと好きってこと！？」
「……付き合ってない自覚はあったのね？」

私が聞くと、こくこくと首を縦に振る睦月くん。あったなら結婚前提に話進めないで貰えるかな？

「だってぇ……ずっとAが好きで、久しぶりに会いに行ったらもっと可愛くなってて、もうキセイジジツ？でもなんでもいいからこじつけて俺のものにしちゃわないと誰かに盗られちゃうかもって思って、それでもう最初から付き合ってるってことにして話進めて、それでそれでぇ……」
「わ、わかったから1回落ち着こう？」

立ち止まってもじもじしながら私に事のあらましを説明し始める睦月くん。ほんとにこの子は18歳でいつもあんなにセクシー路線で売ってる枢木睦月くんなのか？

「でもっ！俺がAのこと好きなのは伝わってるよね！？」
「それに関しては安心して？ちゃんと伝わってる。」
「よかったぁ……もうAに嫌われてもいいから俺はAのこと好きでいたいの。えへへ。」

け、健気すぎない……！？押しかけ女房みたいとはおもったけど、ちょっとこれはそれ以上に健気だ。なんだかこっちが申し訳ない気持ちになる。

「というか私が睦月くんのこと嫌うわけないよ。昔から好きだもん。」
「え、じゃあ付き合ってくれる！？」
「……まあ、睦月くんの気持ちが本当なのはわかってるから……睦月くんさえ、良ければ。」

素直じゃないなぁ、自分。可愛げがないのは自覚してるけど、まさかこれ程とは。しかし、目の前の青メッシュくんはこれまでにないほどにきらきらうるうるとした目で私を見つめて、しばらくそれをした後で我慢できないとでも言わんばかりに私に飛びついてきた。

「ダメなわけないよ〜っ！えへへ、これからはずぅっと一緒だからね！」
「結婚はまだあと短くても4年位は待ってね。」

私が放った言葉に睦月くんはキョトンとする。まあそうか。睦月くんが通う学校には高校も大学もないからね。

「短くてもって、なんで？」
「大学院とかね。」
「えぇ、じゃあじゃぁ、長くて何年？」
「10年もは待たせないよ。安心して？」

ほんとに？約束だよ？と確認をするように何度も私の手を握って聞く睦月くん。なんだかそれが可愛くって、思わず吹き出す。

今までと何ら変わりない私たちだけど、今日からは「幼馴染」じゃなくて「恋人」になる。

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