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運命9 ページ10

「巻き込みたくないって…」

意味が分からない、と首を振る湊に、翼は諦めたような光を浮かべた。

「俺と湊は、違うんだ…」

「違わない!」

翼の声にかぶせるように、湊が叫ぶ。
その声は、怒りと悲しみに満ち溢れていた。

「違わないよ……お前は、ちょっと記憶力がいいだけ!俺と、何にも変わんないよ…」



記憶力がいい……“超記憶力症候群”というものを知っているだろうか?

1日のことを全て言える…過去のことを、現在のことのように思い出すことが出来る…
“超記憶力”を持てる病気だ。

だが、これはいいものではない。
忘れたい過去の出来事も、ずっと脳に住みつく。
過去に縛られるのだ。

それに、超記憶力を求めた組織に狙われる可能性も、ゼロではない。

“過去の事件”も、これに関係しているのだからーーーーーー



「あの話は、実行するよ。巻き込まれるのなんて、上等だ!」

決心したように翼を真っ直ぐ見つめる湊は、翼を引き寄せた。
翼の頭を胸の中に収め、力をこめる。

「だから…俺と離れる、みたいに言うな…」

「湊……」

その時、バン、と鈍い音がした。
見なくても分かる。翼と湊ーーー2人の様子を呆然も眺めていた女性、否、2人の母親が机を叩いた音だ。

目には、怒りしかない。

「翼…あの話だか何だか知らないけどねぇ!これ以上湊を巻き込まないでちょうだい!湊はアンタと違うの!普通よ!もうあんなことに湊を巻き込まないで!」

ヒステリックに叫び散らした母は、黙って部屋から出て行った。
何も言わず俯いている翼に、湊は一際明るい声を出す。

「母さんの言うことなんて、ほっとこうぜ。早速明日のことなんだけど…」

そこまで言って、俯いたままの翼をのぞき込む。
翼の目は、揺らいでいた。
このままだと、翼はまた離れていこうとするーーー

咄嗟に悟った湊は、翼の肩を揺さぶった。

「翼…俺は、絶対離れないから。巻き込まれたくないかどうかは、俺が決める!俺の人生を、母さんやお前が決めるな!」

翼は、フッと笑った。
その場の空気が和らいでいく。
湊も、安心したように口角を上げた。

「……そうだね。もう、お前と離れるなんて言わない。あの話、実行しよう」

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由希 - 面白い!更新頑張って!楽しみにしてます! (2022年4月10日 20時) (レス) id: 2f26b28cc8 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - 由香里さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
由香里 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月2日 15時) (レス) id: 70dce2c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - 吹雪姫さん» ありがとうございます!他の作品も応援してくれて、嬉しいです!!頑張りますね♪ (2019年8月14日 22時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪姫 - 続き頑張ってくださいね!応援しています! (2019年8月14日 18時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずは翼 | 作者ホームページ:http://mizuha.uranai@tututu  
作成日時:2018年12月15日 23時

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