儚い運命は知っている

運命8 湊side ページ9

「うわ……家、すっげぇ久しぶり…」

4年ぶりの我が家に、思わず声を上げる。
そんな俺を、翼は面白そうに、でもどこか悲しそうに眺めていた。


「ただいま…」

母さんは居るはずだ。なのに、返事はない。
不思議に思いつつリビングに行くと、母さんがソファでテレビを見ていた。

翼は、俺が今日帰ってきたことを伝えてないんだろうな…そう思い、母さんの肩を叩く。

「母さん！」

母さんはビクッと肩を揺らして俺を見て、視線をテレビに戻そうとする。
でも、すぐに振り返って目を見開いた。

「嘘……もしかして、湊？」

なんで何も言わずに視線を逸らそうとしたんだ？
俺の疑問は、母さんの声で遮られる。

「後ろに居るのが翼よね？貴方は、湊よね？」

母さんの迫力に、俺はただ頷く。
涙目で俺を見て、立ち上がる母さん。

でも、次の一言で驚愕した。

「翼じゃない……湊なのねっ！」

翼じゃない…？まるで翼がイヤ、みたいな言い方じゃねーか！

「母さん、それどういう…」

聞こうとした俺を今度遮ったのは、翼だった。
自嘲気味に、諦めたように笑う翼に、俺は言葉が出ない…いや、出せそうになかった。


「結構前から、こんな感じだよ。『なんで湊じゃないんだ』って言って、俺とはろくに話もしない……引き取るなら健常者の(・・・・)湊が良かったんだろ、母さんも、もちろん父さんも」


だから……だから家に誘った時一瞬間があった…
悲しそうな声だって、表情だって……

「なんでっ……なんで教えてくれなかったんだよ！俺ら双子だろ…俺は、翼が一番大切なんだって！正直、こんなことする母さんなら縁だって切……」

「だからだよっ！」

縁だって切る……そう言おうとした俺の肩を、翼が掴んだ。
怒りによる震えなのか、悲しさによる震えなのかは分からないけど、微かに震えている。

「俺が原因で、湊の人生狂わしたくないから……これ以上、湊を巻き込みたくないんだ！」

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ⚠注意

本作品では、病気の表現があります。
一応ある病気を記載する予定ですが、多少捏造することはあるかもしれません。

無理な方は、バックしてください。

ご了承くださいm(*_ _)m

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