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運命7 ページ8

「フランス、どーだった?」

翼のさりげない問いに、湊は肩をすくめる。

「お前に会えなくて寂しかった。って言って欲しいの?」

からかいを含ませながら笑う湊に、翼も負けじと言い返す。

「そうだよ。って言ったらいいの?」

そのいつものノリに、2人は顔を見合わせて笑う。
すれ違う歩行者全員が2人を見て頬を染めているのに、少し天然な2人は気付かないだろう。

「父さんとは、どうだったの?」

翼が、からかいを消した真剣な瞳を湊に向けた。
湊は、少し悲しそうに空を見る。
日が傾き始めて暗くなってきた夕暮れの空は、儚いものだった。

「仕事ばっかで、俺は俺で忙しかったからあんま話さなかったね…死は悲しいけど、俺の中での1番はお前だから。それに、父さんのことはまだ許してないし」

怒りを滲ませた口調で言葉を吐き出す湊に、翼は苦笑した。


許してないーーーーーーきっとそれは2人の父……昇が、離婚の後、了承ナシに湊だけを引き取り、勝手にフランスへ行こうとしたことだろう。


見送り、ちゃんと出来なかったな……
思い出したようにそう口にする翼を、湊は軽く叩いた。4年ぶりとは思えないほど、自然な様子だ。

「だから、4年間の穴をこれから埋めるんじゃん!」

そうだね、と笑う翼もいつもより自然で素だ。
でも、その空気は次の一言で一変した。
真剣で、触れたら壊れそうな哀しみへと。

「あの話、実行するけど…いいよね?当たり前だけど、覚えてるよね?」

語尾に不自然な力を込める湊。
翼は、自嘲気味に目を伏せて笑った。

「俺が、忘れるわけないでしょ。湊にはホント迷惑ばっかかけてる…ありがと」

その言葉に、湊はキッと翼を睨みつけた。
悔しそうな、哀しそうな、色んな感情の入り交じる瞳で。

「お前を迷惑だなんて思ったこと、ないから。それに、翼が頼れるのは俺だけってことでしょ?それで充分だよ」




ーーーーーーこの双子は、過去に何を体験したのか。

そして、人を信じない理由……KZを抜けた理由は?


運命はどう動くのか…
それは、神様にしか分からないーーーーーー

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由希 - 面白い!更新頑張って!楽しみにしてます! (2022年4月10日 20時) (レス) id: 2f26b28cc8 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - 由香里さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
由香里 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月2日 15時) (レス) id: 70dce2c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - 吹雪姫さん» ありがとうございます!他の作品も応援してくれて、嬉しいです!!頑張りますね♪ (2019年8月14日 22時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪姫 - 続き頑張ってくださいね!応援しています! (2019年8月14日 18時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずは翼 | 作者ホームページ:http://mizuha.uranai@tututu  
作成日時:2018年12月15日 23時

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