儚い運命は知っている

運命6 湊side ページ7

暗くなった画面を見ながら、俺はため息を吐いた。
4年離れていたし、電話も偶にだったけど、俺には分かる。


翼は、また何かを抱えてる。


前より元気がない。泣きそうな声だった。でもｰｰｰｰｰでも翼はそれを、双子の俺にも話してくれない。

いや、やっと一緒になれるんだ。
無理矢理にでも絶対聞き出す。


ｰｰｰｰｰ同じ卵子が別れて生まれたんだ。元は一緒。
2人で居なきゃ、俺らは俺らじゃないんだ。

心を許し合えるのは互いだけ…だから


絶対に自分から別れの言葉は告げちゃダメｰｰｰｰｰｰ


フランスと日本で離れ離れになる時でも、“バイバイ”としか言わなかった。

元気でね…など、もう二度と会えないかもしれない時に使う言葉は使わなかった。


それは、今までもこれからも変わらない。

そう思っていたのに…………


それが壊れることを、俺はまだ知らなかった。



・

・

・

「湊っ！」

薄い金髪に整った顔の翼は、人目を惹く。
その呼びかけに答える男の子は、そっくり、と言っていいほど翼に似ている。

歩く人々は、歩調をゆっくりにして2人を見つめるほど、絵になっていた。

「翼…全然4年ぶりって感じしないね。相変わらず、考えることは一緒…」

呆れ顔の湊に、翼も苦笑する。

「髪の長さも身長も服のセンスも変わらないね」

4年間、何の報告もなくても同じことを考えていたらしい。見た目の区別はつきそうにない。


これだけ綺麗でそっくりな双子は珍しい…

そう考える人が増えたのか、スマホを構える人が多くなった。モデルがいるかのように写真を激写する観衆に、2人はため息をつく。

もちろん、タイミングはぴったりだ。

「ここじゃ目立つね…」

「ホントにね…｣

翼が、湊に小さく笑った。

「……家、行く？」

湊は笑って返事こそしたが、一瞬の間があったことを聞き逃さなかった。


ここから少しずつすれ違う双子の心をつなぎ合わせれるのは、誰なのか…

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