儚い運命は知っている

運命1 翼side ページ2

晴れた午後の秋晴れの空。
俺は、浮き立つ心を抑えながら窓の外を見る。

昼休みにかかってきた電話ｰｰｰｰ俺にとっては、最近で1番嬉しいニュース。


“湊が帰ってくる”


俺は、誰にも言ってない秘密があった。
言わなかったわけじゃない。聞かれなかったから言わなかっただけだ。


ｰｰｰｰ俺は、1卵生の双子(・・・・・・)


双子の兄である湊が、明日帰ってくる。
そう思うと、自然に口角が上がる。


親の離婚で父についていき、フランスに行ってしまった湊。母と共に日本に残った俺。

神様の悪戯で、4年前、俺たち双子は引き離されてしまった。


その父が、つい先日事故で死んだのだ。
湊は、俺と母の元に来ることになった。


『双子って、絶対巡り会える運命なんだ』


湊の言っていたことを思い出す。
本当に、それは正しかったのかもしれない。

父とは、離婚前からもほとんど口を聞くことはなかった。それも離婚の原因だったのだろう。

だから、俺にとっては、父の死よりも湊の帰国が嬉しかった。



双子というものは、やはり特別だ。
一緒に居るだけで、安心できる。

過去の事件(・・・・・)以来、“信頼できる仲間”を作らなくなった俺の傍にいられるのは、やっぱり湊だけだ。



もう二度とお互い以外を信用しないｰｰｰｰ



そう約束したんだ、湊と。

でも、あいつらは何なんだろう。
俺の特殊能力を個性として認めてくれて、居場所を作ってくれたあいつらは？


湊と離れた日から、必死で自分の居場所を探してきたけど、見つからなかった。

上辺だけの友達しか作れなかった。

でも、あいつらと出会ってｰｰｰｰ昔の自分を少し取り戻せたんだ。


でも、もういいよね？

湊が来たら、俺はあいつらから離れよう。

あいつらは、俺とは関わってはいけない人間だったんだからｰｰｰｰ

運命2 湊side→←序章

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す