220 ページ22
あぁ、逃げられない。私は巻君からは逃げられない。そう思った。もう誤魔化しは聞かない。何より、こんなにも真っ直ぐに伝えてくれているのに、逃げるのは失礼だ。腹をくくれ。
｢っ……わ、私…｣
私も、私も貴方が
｢ん？待てよ…？別にお前が頷こうが頷かなこうが関係ねぇか｣
｢へ？｣
｢お前は俺が好き。って事は俺のものになりたい。そういう事だよな｣
｢…………はい？｣
え、絶対そんな空気じゃなかった。私の一大決心は？……あれ？今巻君なんて言いました？
｢え、あの…私まだ何も｣
｢あ？お前が俺のもんになるのは確定事項だ。お前は俺が好きで、俺はお前が好き。お前、俺のもの、以上｣
そう言うと、巻君は私の上から退いた。えー…そんなさも当然のように……さっき頷くまで云々言ってたじゃないですか。これ、私も想いを告げてハッピーエンドの流れでは…
｢ちょちょちょ、巻君、二度寝に入らないでください。私今置いてけぼりです｣
｢あぁ、風呂場は出て左｣
｢覚えてたんですね…や、そうではなくて｣
｢……そうだな｣
そうです。私に状況把握させて下さい。その、私達は……そ、そういった関係になったのでしょうか？
巻君は寝に入った体制を起こすと、ベッドから降り何やらゴソゴソ聞こえる。何かを取り出しているようだ。暗いのに凄いな。
｢ま、巻君？｣
｢おらよ、着替え｣
｢わぶっ……あ、ありが…ではなくて！私はっ｣
｢なんだ、二人で入るか？つってもシャワーだが…ふむ、よし行くぞ｣
手首を掴まれ引っ張られるのを、散歩嫌いの犬のように抵抗した。全身全霊を掛けてこの散歩に行くものか。
｢待って待って、あれ？ノリノリですか！？行きませんよ！一人で結構です！｣
｢じゃあ、互いに下は見ねぇってのでどうだ｣
｢女は上にも隠す所あるからダメです！…って何言わせるんですか！｣
｢お前は俺のもの、お前の物は俺のもの。逆も然りっつー事で、お前も俺のを好きなだけ見ればいいだろ｣
｢何を！？｣
｢ナ｢変態！ジャイアン！｣お前劇場版の剛田武舐めんなよ！｣
これは巻君名物、『何を言ってもおかしな方向にしかいかない不毛な会話』が始まってしまった。話すだけ無駄と理解した私は、逃げるようにお風呂場へ向かった。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←119
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ｒｉｚｕ(プロフ) - 初めまして、マキペースいつも楽しく拝見させていただいてます！巻君と笹野さんの今後の展開がどうなるのかとても楽しみです〜！応援してますっ (2019年6月15日 20時) (
レス) id: ab8520847a (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - はじめまして！巻くん推しなのでいつも読ませていただいててほんとにこの作品が大好きです..！サービス終了して寂しいですがまたこの作品の続きが読めること楽しみに待ってますっ！ (2019年4月7日 21時) (レス) id: 797fcd92fe (このIDを非表示/違反報告)
氷帝の日吉推し(プロフ) - ほんとにこの作品大好きです！バンドやろうぜ！アプリは終わってしまいましたが、また続きを書くことになったら楽しみにしています！ (2019年2月26日 1時) (レス) id: 8e027ef378 (このIDを非表示/違反報告)
†aira†＊:・.(プロフ) - こんな素晴らしい作品久しぶりに読みました。ありがとうございます。一瞬推しが変わりかけました。無理をなさらない程度に更新頑張って下さい。 (2018年7月31日 23時) (レス) id: 821f37e396 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 初めまして！ずっと読ませていただいてます！宗介は2人目の推しなのでいつもうへへへとにやにやしてます(笑)更新楽しみにしてますねー！ (2018年5月22日 13時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ファルス | 作成日時：2017年12月28日 1時
