会う事のない2人。【七夕短編】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:358 hit

会う気がない。ページ1

「あー、今日もつかれたー！」

今日は7/7

いわゆる七夕。

「織姫ちゃん！お連れ様！今日もすっごい人気だったねー！」

「あ、マネージャーさんこそお疲れ様です！」

ニコリと笑いながら頭を下げる。

私、みんなのアイドル織姫。

え？彦星はどこか？

空の上の何処かで漂ってますよ、きっと。

「ところでさー……『例の電話』また今年も来たよ」

申し訳なさそうにマネージャーさんが言ってくる。

それを聞いた私も少し機嫌が悪くなる。

「あーいないない。貴方の知ってる彦星の恋人はもう天界におりませーんって言っといてもらえません？」

これを聞いたマネージャーがさらに申し訳なさそうに縮こまる。

「そ、それがね？言わないと君の住所ばら撒くって……」

なんてやつだ。

最低野郎にも程がある。

小さく舌打ちをした後に「出るから貸して」と若干低くなった声にマネージャーさんは「ごめん！」と言ってからスマホを受け取った。

_____________

『やあ、久しぶりだね織姫ちゃん！』

「うっさい黙れ。そして宇宙上から消滅しろ」

電話相手は、憎き相手の彦星。

現在進行形ニート。

年一に会うたびに私に媚びって来るようになってキモかったから捨てた元彼氏でもある。

ありとあらゆる手段で考え直してくれと言う癖に、ニートだけは直さない。

私はこいつが大っ嫌いだ。

『えぇーー！？ひっどいなぁ？あ、もしかして照れか「もう切るぞカス」あ！ごめ』

ブツッ

ツーツー

ああ、なんてウザい。

あいつなんぞに照れるものか。

もう一度電話がかかってくる。

『ごめんなさい。もう言わないです』

「んで？一体なんのようなの？さっさと話せよとろニートが」

『電話した理由？もっちろん七夕の感動の再会をしないかっていうお誘いだよ！』

「はぁ？」

好きでもなんでもない。むしろ嫌いなやつと会え、と？

『あっれぇー？もしかして照れ「死.ね」え、あ』

スマホをぶん投げる。

今だあんなことをいうあいつが大っ嫌い。

糞ニートはよ禿げろ。