-3.二人の秘密 ページ3
「僕は、美味しいと思いましたよ」
Aさんがこちらを見た。
「甘さも、丁度良かったです。控えめで。
あくまで僕の好みですけど…。
生地の食感が楽しめるケーキだと思います。」
…言った。
出過ぎたことをしたかもしれない。
今更冷や汗が滲んできた。
Aさんは目を瞬かせながら、黙っている。
せめて何か言ってくれ。
慣れないことをして密かに後悔の念に駆られた僕は、
Aさんの言葉を待った。
すると…
「カールくんにそんなこと言ってもらえるなんて！！」
わっ、と 周りが明るくなったのかと
錯覚してしまうほどまぶしい笑顔。
よ、喜んでるのか？
不快にさせていないのならよかった。
はあ、胸をなで下ろす。
「僕は、ですよ」
「うん！ありがとー！！
カールくんに美味しいって言ってもらえたから、
このケーキはこの味で固定しよーっと！」
Aさんのはしゃぎっぷりが異様だ。
もしかしてとんでもないことを言ってしまったのか、と思ったが
いやいやそんなはずはない。僕の感想を述べただけだ。
「は、はあ…よかったです…ね？」
「助かったよ〜！カールくんの好みの味も知れたしね。
甘さは控えめが好み…と」
さっとメモをとったAさん。仕事が早すぎはしないか。
…あまり意識したことはなかったが、
僕のケーキの好みは甘さが控えめなもの、らしい。
「これで何日かずーっと悩んでたんだー、
友達とのお茶会にどんな味のお菓子を持ってこうかって」
「そうだったんですか」
「ありがとね！助かった！」
Aさんの周りに音符が見える。
彼女は手早くノートをまとめ、閉じた。
「まだこのケーキのことは
私とカールくんだけの秘密にしててね」
「…はい」
"私とカールくんだけの秘密"。
「あの、Aさん」
「うん？」
僕はどうかしてしまったのかもしれない。
「また食べさせてくれませんか、
僕とAさんだけの秘密」
こんなことを言うなんて。
「？…ふふっ、いいよ！」
食事の時間。僕が一番苦手な時間。
人と接触するのが、僕はあまり得意ではない。
だけど、この人となら ―――。
end.
三作目の駆け出しは納棺師くんでした。
前作とはすこーしだけ…違った口調の納棺師くんです。
納棺師くんがマスクをずらすところが見たいGaldでした。(何
2-1. こっちむいて！ 【白黒無常/謝必安】▼→←-2.二人の秘密
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トウコク - ストーカー話ありがとうございました...尊すぎ死んじゃう(爆散) あの、逆トリップの白黒お願いしてもいいですか...？ (2019年4月10日 0時) (
レス) id: 776fdad7d6 (このIDを非表示/違反報告)
トウコク - 初めまして、毎日無常推しとしてはこの短編集はめっちゃ目の保養...いつも読んでます、更新頑張ってください！『無常にストーカーされる夢主』をリクエストしたいのですが、大丈夫でしょうか？ (2019年2月28日 16時) (レス) id: e432d23e20 (このIDを非表示/違反報告)
黒眼鏡 - ア"ァアアア"ァ！！嬉しい！！まさか私のリクエストを書いてくださるなんて！！ありがとうございます"ぅうう！ま、またリクエストします...！(←調子に乗るな^^) (2019年2月19日 22時) (レス) id: 6c68a47d1f (このIDを非表示/違反報告)
ナ子 - 読ませていただきました。Galdさんの書く無常さんが好きです･･･画面の前で悶えてます！無理せず頑張ってください！ (2019年2月4日 11時) (レス) id: 937195e404 (このIDを非表示/違反報告)
晴天 - 続編おめでとうございます(*´∀｀*) Galdさんのかかれるテテの世界観が大好きです！ (2019年1月19日 19時) (レス) id: 5853246d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Gald@ | 作成日時：2019年1月10日 14時
