元引きこもりの周りが病んできた…【文スト】

元引きこもりが８７人。 ページ47

相沢side

『ちょっと待って、頭に血上ってきた、やつがれくん、一旦羅生門…

　わぁッ！？』


唖然として私は玄関に現れた３人を見つめていると、当然逆様なので頭に血が上る。

気分が悪くなってきて、やつがれくんに降ろすよう頼むと、いきなり体が宙に浮いた。


ああ、落とされたんだ。

相変わらず人使いの荒い人だな、なんて考えながらこれから来るであろう衝撃に目を瞑る。

が、衝撃が来ない代わりに誰かの掌(てのひら)が背中に回った。


「っと、大丈夫ですか！？全く、芥川の奴………」

『え？あ、あ…ありがとう、敦くん』


敦くんが虎の異能を使って、助けてくれたらしい。

その証拠に、敦くんの足だけが虎化している。


そして、当の本人、やつがれくんはつーんと横を向いて謝る気配がない。

まぁ、いいか。そういう子だし、と謝ってもらうのを諦める。


『えっと、取り敢えず中入ってください。外は寒いでしょうから』

未だ外にいる太宰さんと中也師匠に中に入るよう促し、洗面所へ向合わせた。

太宰さんが手を洗い終わり、ハンカチで手を拭きながら私に聞いた。


「Aちゃんって潔癖症？」

『手洗ってないんですか？きたな』

「いや、そりゃあトイレ行ったときとかは勿論洗うけど…

　態々客人を洗面台連れて行くってなかなか無いと思うんだよね」

『そうでしょうか。

　あ、じゃあみなさん、此方へどうぞ』


太宰さんを適当にあしらい全員をリビングへ誘導する。

本当、普通のアパート１LDKに五人の男女がいるって如何云う状況なのか悩む。

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