引きこもりが愛されてしまった…【文スト】

元引きこもりが２５人。 ページ32

相沢side

キーボードの打音が響く。



カタカタ、というよりはズシャアアといったとんでもない音。



自分のブラインドタッチの速度が尋常でなく打音がうるさいことは承知しているが、



今日がはじめましての人が少なからずいるここでは驚きの対象のようで



みなさんがこちらを凝視している。



迷惑になってないかな、もう少し静かにできないかな、でもそうすると速度落ちるし…



などと罪悪感と背徳感が私を襲う。



すると中島さんが探偵社のドアを開けて社内に入ってきた。



「おはようございます、相沢さん！」



彼は私のキーボードの打音を気にせず挨拶してくれた。



『おっ、おはようございます…！』



中島さんいい人…などと思いながら私も慌てて挨拶を返す。



が、あんな騒音気にならないわけがなく、



「タイピングすごく速いんですね、僕は遅いのでうらやましいです」



と笑いながら私を通り過ぎていった。



…静かなキーボード、買おう。



そういえば、今思い出したけど私、



太宰さんに奢ってもらった珈琲の代金、払わなきゃだ。



現在所持金は入社記念？でもらったお金が２万円。



よし、これなら絶対足りる。



今日、太宰さん見かけたらこの前のお詫びで、どこか誘おっ…！



私が年上の男性に声がかけられるのか、それは後程思い知らされることである。

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