引きこもりが愛されてしまった…【文スト】

元引きこもりが３５人。 ページ42

相沢side

『では、そのケンジさん？はどちらに…』



「呼びましたか？」



口に出した瞬間、背後に現れる人。



驚いてばっと振り返ると、



中学生くらいのオーバーオールを着た少年が立っていた。



ニコニコと笑っている彼を、一瞬疑った。



この方がケンジさんでは…？



いやまあ、ないか。監視が必要なほど恐ろしい人がこんなに可愛らしい訳、



「ああ、賢治。ちょうどよかった。



　今からこいつを任務に同行させてやってくれないか」



…あった。



「勿論です！」



癒しのヒーリングボイスを耳に、私たちは軽く自己紹介をして外に出た。



ー−−−
「Aさんはこういった仕事は初めてなんですか？」



聞き込み、ということで商店街に向かっていた。



あそこならたくさん人がいるし、何かいい情報があるかも、と賢治くんは言っていた為だ。



しかし、私はあくまで意見に賛成しただけ。決して人の多い場所に行きたい訳ではない。



気が重く、下を向いて歩いていると、



賢治くん(そう呼んで欲しいと言われた)がそんなことを私に聞いた。



『そうですね、物騒なことはあまり好まなくて…』



伏し目がちに言うと、賢治くんはなんでもない、みたいに話す。



「物騒じゃないですよ！



　みなさん正直に言えば、相手にも伝わります。



　お陰で、僕の聞き込みの時はみなさん正直に話してくれるんですよ！」



　そういうものです」



”そういうもの”で大丈夫なのか、直観的に考えた。

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