最悪な ページ15
Ryota side
「…よし、できた。涼太くーん」
肩を軽く三回ほど叩かれて、目が覚めた。
あぁそうだ。
Aちゃんにセットしてもらってたんだ。
寝ぼけた状態で鏡越しに彼女を見る。
「ごめん、ありがと。」
お疲れですね、なんてニコニコしながら、
俺の髪をまた軽くいじって、よしっ!って
満足そうに俺の肩に手を置いた。
久々だった、彼女にやってもらうのが。
ここ最近はハナさんにやってもらうことが多かったから。けど今日、Aちゃんに頼んだ理由は一つ。
伝えなきゃいけないことが、あったから。
「…あのさ、Aちゃ____
「涼太!ちょっときてや!」
龍友くん、タイミング最悪。
「はい…?」
「あぁいや、なんも…」
俺は逃げるように、龍友くんのところへ行った。
何かを言いかけた彼女を残して、
龍友くんのところへ逃げた。
「…お前、あのこと言おうとしてたんちゃうよな?」
「え、…」
「え、ちゃうわ。言わんって、玲於と約束したやん」
「でも、もうバレちゃうことだし…」
「そうやけど、玲於が自分から言いたいやろ。な?」
玲於との約束。2週間ほど前に遡る。
そもそも事の発端は、Aちゃんが専属に
戻ってきたということ。
裕太くんとのこともあったし、
正直、事務所からはかなり反対されていた。
一度メンバーで話し合おうってことになって、
急遽集まった。
" 難しいて。Aちゃん戻すのは。
な?玲於もそれくらい分かるやろ? "
龍友くんに言い放ったこの一言。
キツい言い方かもしれないけど、
これが、大人の対応っていうか、正しい判断。
" 戻す。俺、絶対にあいつを専属に戻す。
…なんも悪いことしてないじゃん、あいつ。"
上と掛け合ってでも、なにをしても、戻す。
なにも悪いことしてない、というのは事実だった。
ただの誤解で自主退職した。それだけ。
" せやけど、一度ついたイメージは変わらへん。
こんなん言いたくないけど…
傷つくのは、Aちゃんの方やで "
" 俺が全部責任とる。
あいつのことも、絶対に傷つけない。守る。"
その眼差しがあまりにも真っ直ぐで、
もう誰も、なにも言えなかった。
Aちゃんが戻ってきてから、
玲於は本当に彼女を傷つけないために必死だった。
いつも先回りして、地雷を取り除くような、
そんな毎日。
ただ、現実はそう甘くない。
" 佐野を3ヶ月間、ダンスの臨時講師として
アメリカに行かせる。"
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めぐ(プロフ) - さよなら、純情のパスワードが知りたいです! (2022年3月30日 13時) (レス) id: 87471c5401 (このIDを非表示/違反報告)
甘夏 - お疲れ様でした!!次回作も楽しみです!こちらこそ、本当に面白いお話をありがとうございました! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 1d6fa76e88 (このIDを非表示/違反報告)
mmmmmsss0215(プロフ) - はやく更新されないか毎回待どうしかったです。これで終わってしまうのは悲しい。今後のstoryも書いて欲しいです。 (2020年5月7日 1時) (レス) id: 7082c82480 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてました!超超超超大好きな作品です!!!お時間があればで全然大丈夫なのでアフターストーリーも見たいです! (2020年5月7日 1時) (レス) id: f81c34e9d9 (このIDを非表示/違反報告)
mmmmmsss0215(プロフ) - 毎回楽しみにしています。 (2020年5月4日 2時) (レス) id: 7082c82480 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふたば | 作成日時:2020年3月8日 8時