好きだよ、レオくん４【佐野玲於】

嘘っぽい ページ13

Reo side



携帯持った？

パスポートは？


なんて、朝から家の中は大騒ぎ。

海外なんて行き慣れてるし大丈夫だよ、って
言ってんのに、俺より1時間も早く起きて、
騒ぎまくるこいつ。

もっとほら、甘えてきてさ。
寂しい…とか言ってくるとかあるじゃん。



「携帯もある、パスポートもある。大丈夫。」

「お土産、買ってきてね。」

「はいはい。」



マネージャーから、下に着いたって電話が
あったのが3分前。
そろそろ行かなきゃ催促の電話が来る頃。

だけど、やっぱり甘えてきて欲しいじゃん。
行かないで、とか言って欲しいじゃん。



「お土産以外に、…ほら、あるじゃん？」

「え、なんだっけ…あ、着いたら電話してね、あと」

「ばか、ちげぇよ」



時間もないし、仕方ないから俺から。
Aの腕を引っ張って思いっきり抱きしめる。
苦しい、って言っても離してやんない。
こいつの前ではSな俺が、強く、強く抱きしめた。

ゆっくりとAの腕が俺の背中に回って、
そのまま俺の頭まできた。
そして、ふわっと撫でられた。子供みたいに。


「…頑張ってね、玲於くん。」


あぁ、もう。こいつさえいれば俺なんもいらない。
こいつの声とか、体温とか、髪とか、もう全部。
全部愛してるって、言える。
これをAに言ったら、きっと嘘っぽい、って
ケラケラ笑われるんだろうけど。


ズボンのポケットが微かに振動する。
マネからの催促電話。

時間を見れば、約束を5分超過していた。


「…ん、もう行くわ。」

「いってらっしゃい。」

「…電話する。」

「うん、待ってるね。」

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