混沌 ページ39
『其れじゃあ、お父様。夕食は冷蔵庫にありますから温めて食べてくださいね。』
「…嗚呼、」
『あ、大丈夫ですよ。18時には帰りますから。』
「…嗚呼。」
福沢は玄関に立ち戸に手をかけるAを前に鸚鵡返ししか出来なかった。いつの日かこんな会話をした気がするがそれは娘からの説教から逃げたかったからで。今回の物とは訳が違う。如何して___。
____如何して、目の前の愛娘はまるで逢瀬に行くかのように着飾っているのだ。
***
「__社長、先日の会合なのですが…。」
「嗚呼、置いておいてくれ。」
「社長、此の前の経費なンだけど、」
「後で話そう。」
「社長ー、お菓子無くなっちゃった。Aはー?」
乱歩のその言葉に途端に先程迄持っていた資料を落としてしまう福沢。
国木田は社長!?と大声を出しながらも資料を拾う。珍しい彼の失態に社員は目を見張るが直ぐに思い出す。
____この男、娘が関係すると阿呆の様になるだった。
乱歩は持ち前の推理力で思考を巡らせる。そして何だ。と呟く。Aと一緒に出かけた相手がわかったらしい。正直、それが誰かを福沢に伝えれば直ぐにこの腑抜けももう見れなくなってしまうだろう。それでは面白くないと乱歩は笑みを浮かべた。
「…ふーん、Aが逢瀬している相手は男みたいだねぇ。」
「な゛…、乱歩、一体その相手は……。」
「知らなーい。」
乱歩はそう言い探偵社の扉を開けるとズカズカと何処かへ向かって行ってしまった。福沢は何かのショック故なのか固まったままだ。国木田は拾った資料をもう一度落とし、与謝野は何処からか鉈を取り出した。敦はその地獄絵図に一歩引き下がるが太宰は楽しそうにそれを見るだけ。
「太宰さんは心配じゃないんですか?」
「私〜?私はねぇAちゃんが誰と出かけたのか知ってるからぁ。」
太宰の声は敦にしか聞こえていなかったらしい。
任務から帰ってきたらしい鏡花は混沌とかした社に首を傾げる。訳を聞き彼女は大きな爆弾を落とした。
「それは詰まり…、Aに恋人が出来たという事?」
「なッ、A様に…、恋人……。」
国木田は狼狽え。
「…ふ、ふふふ…いい実験台が出来そうだ…。」
与謝野は一人高らかに笑い。
「…、」
福沢は棒立ちのまま。
社内は混沌____カオスを極めた。
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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時