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襟締 ページ36

『…、何これ。』



今朝、郵便受けを除くと珍しく封筒が入っていた。封筒とは言っても名前は書いておらず宛先だけ。何とも可笑しな物だと思いつつも封を開ける。中には一枚の紙と真っ白なバラ。ドライフラワァと言うものだろうか。あまりこういったものは貰ったことがなかったので不思議な気持ちになる。


紙を光に翳すとそこには____ニンマリと口角を上げた鼠。


「___貸せ。」


『え、あ、ちょ!お父様!?』



お父様は何処からか音もなく現れたかと思うと突然私から紙を奪い破ってしまった。最早、只の破片となってしまった紙を見てあぁ、と呟くがそんなことはお構いなしにお父様は私の手元の白薔薇を見る。






「一本の薔薇とは…お相手は随分なロマンチストのようだな。」


『…?お父様、花言葉が判るのですか。』


「……少し喋り過ぎたな。そろそろ時間だろう。支度をしろ。」







その言葉に私は返事をするとせめて薔薇は、と玄関下に飾り出掛ける準備をした。飾られた薔薇を睨む様に見詰めた福沢は一人眉を顰めた。






**





「…買い過ぎではないのか。」


『そんな事無いですよ!お父様、唯でさえ服に頓着が無いのですから今買わないと!』





そう言い楽しげに手を引く彼女を誰が止めることが出来ようか。福沢は引かれるが間々に彼女の後に続く。右手には大量の袋。左手には愛娘。鍛えられた己の腕に感謝した瞬間だった。






『…、そう言えば今度政府の方と会合が有るのでは有りませんでしたか?』


「…襟締はもう良いぞ。」


『良くありません!!お父様の顔面を活かすにはあれだけじゃあ足りません!』





誰に似たのか自分の服よりも年頃なのだから女子らしい服の一つでも強請れば良いのに。そう言うといつも強請っているから結構です、そう言う彼女に操られるままだ。

あと、何時間続くのだ。どんどん寄っていく眉の元に救世主は現れた。



















「___あれ、社長にAじゃん。」

「乱歩……、」

『ちょうど良いところに!如何が?お父様のスゥツ姿!!!』




矢張り、白もいいですか深い紺も…そう語りに入るAを見て乱歩は嗚呼、と状況を察する。福沢は頼んだぞと言い試着室に戻り元の着物に戻る。乱歩に引きづられながらも店を出るAに哀れみを抱いた福沢はせめて、とAが進めた襟締を全て買うことにした。





(うわぁ、親馬鹿。)
乱歩が少し引いた目をしていたのは言うまでもない。

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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時

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