酒 ページ33
『…ねぇ、太宰。……何処まで予想通りだった?』
「ふふ、…まるで私が全て仕組んだと言いたげだねェ。」
だって、そうでは無いか。社を飾り付けしつつも一つ溜息を吐いた。結局、敦はポートマフィアと協力して組合の頭取を倒し鏡花ちゃんは入社試験に合格した。私に出来たことと言ったら敵の足止め程度。後半戦なんて太宰としりとりか乱歩君と花札をするくらいしかやる事がなかった。
『ま、お前の頭にはいつも感謝しているよ。…何時も有難う、治。』
「…、そういう事をする時は一言言って欲しいんだけれど。」
『突然するから面白味があるんだよ。』
乱歩君と違って太宰は反応する時はよくしてくれるので本当に面白いのだ。私はくすくすと口に手を添え笑うと騒がしい戸の方へ向かう。渡されたクラッカーを扉の方に向け準備をする。扉を開けた鏡花ちゃんは少し潤んだ瞳を此方に向ける。私はニコリと微笑むと鏡花ちゃんに抱きつく。
『お帰り!!鏡花ちゃん!!!』
「…ただ、いま、」
鏡花ちゃんは不器用ながらに私の背に手を回した。
***
皆んながパーティを楽しむ中、太宰が暮れた蜜柑のジュースを飲む。子ども扱いをされている気はしたもののごくりと飲み干すとふんわりと柑橘系の甘酸っぱい匂いが鼻を通り抜ける。私は隣に座る太宰を見上げると礼を告げる。
『珍しいね、太宰がそんな気遣いをするなんて。』
「そうかい?私にだってそんな日くらいあるよ。」
そう言って微笑んだ太宰に少し不信感を覚えるが飲み進める内に霞み始めた頭。火照るように熱い頬。なんとも楽しい心地になり口角が上がるのを感じつつも飲む手を進める。
「…なンか、アンタ顔赤くないかい?」
『…んぇ?なんて〜??』
「……太宰。アンタAに何飲ませた。」
「…お酒♡」
この馬鹿野郎。与謝野は真っ赤な顔をしたAを抱えながらも太宰の頭に拳骨を落とした。太宰は逃げようとするが某遊戯のように回り込まれて逃げられない!!……こうして太宰は酔ったAの介抱を任されたのだった。
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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時