悪い気 ページ32
『…、あの……お父様。』
「何だ。」
『そんなにくっつかれなくとも私は飛んで行ったりしませんから。』
そう云い子供を嗜めるように背中に添えられた手を押すように返すとしかし、と眉を寄せる。こうして心配してくれるのは正直とても嬉しい。本来ならば気持ち悪がったりするのだろうが私は別だ。少し上機嫌になりながらも社の扉を開き交渉が終わったことを皆に伝える。
『んふー、ねぇねぇ、晶子さん!富林、食べない?』
「おや、素敵な誘いだねェ。」
「僕も食べるー!」
『え!あ、それ私の富林!!』
勝手に食べられた富林は数量限定の物で。少し恨ましい目で乱歩君を見るが等の本人はけろりとした顔で一緒に食べたら良いじゃない、等とほざいている。……もう一口しか残って無いじゃん。
私は不貞腐れながらも晶子さんにもたれ掛かる。晶子さんは食べていた手を止め私の頭を撫でる。優しい手付きだ。昔から変わらない。まるでお姉ちゃんだと思い晶子さんの肩から見上げる形で晶子さんを見る。
『晶子おねーちゃん。』
「ふふ、なンだい。甘えたがり屋だねェ。」
私は抱き締められた際、顔に当たったモノに少しの羨望を抱くが書き消すように腕に力を込める。晶子さんは暫くして富林をずっと食べている乱歩君を見てからニヤリと笑った。そして、耳元で囁く。
「_______とか、どうだい?」
『それ、絶対に聞かないよ。乱歩君ならへぇ、の一言で終わる。』
「普通ならね。大丈夫、妾を信じてやッてみな。」
仕方なく晶子さんの言葉を信じ向こう側にいる乱歩君の隣に座る。乱歩君は何?と咀嚼する手を止めずに此方を訪ねる。私は回りの目が気になるな、と乱歩君の耳元で囁いた。
『…乱歩、おにーちゃん。』
「……、何?」
思った通りの反応が帰ってきて私は何でもない、と乱歩君の耳元に置いた手を離し晶子さんのところへ戻った。晶子さんは何故かとてもニコニコしていて不思議に思いながらも余った富林を食べた。
(……顔、真っ赤だよ。乱歩さん)
(……与謝野さんでしょ。仕組んだの、)
(まァ、悪い気はしないだろう?)
(………まァね。)
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100票突破!?有り難うございます!!超嬉しい。記念に番外編でも、と思ったんですけど4月馬鹿かハロウィン、バレンタイン…迷いますね。
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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時