福沢諭吉の娘ですが。【文スト】 (ページ29)

今日:12 hit、昨日:41 hit、合計:55,048 hit

マフィアページ29

『痛ぁ…、…良い場所に落ちたな…。』

受け身を取ったお陰で軽傷だった事に安堵しながらも辺りを見渡すとどうやらマンホールの中の様だった。この調子なら数十分程歩けば地上に戻れるだろう。私は痛む右腕を抑えながらも足を進めた。

_=_=_=_=_

『んしょ、』

「うおっ、て…お前、何でンなとこから…。」

『あ、…中原サーン…お久しぶりで。』

出た場所はどうやらポートマフィアの所有する土地の近くだったらしい。中原さんは突然出てきた私に驚きながらも蹲み込み手を貸してくれる。……こういう人がモテるのだろうな。

「ったく、手前は世話が焼ける。」

『んはは、そう云いながらも手を伸ばしてくれるとこ嫌いじゃないですよ。』

「…そうかァ？」

そんな事を言い照れながらも頬を掻く中原さん。そんなんだから太宰に目を付けられるんだよ。少し呆れながらも残念なものを見る目を向けると中原さんは少し眉を下げ、んだよ、と呟く。

『……あの、所で探偵社って何方に行けば良いんですか？』

「…この状況で帰れると思うのかよ。」

そう言い先程迄の表情は何処へ行ったのか直ぐに真面目な顔になる中原さん。
確かにこの状況でそんな事を言い出せば只の平和ボケした阿呆のようだ。けれど。私には関係がない。

痛む体を起こし中原さんを見上げるようにすると私はニヤリと笑った。

いつの間にか寄ってこられたマフィア達に向けられた銃。
いつの間にか近寄って来ていた幹部達。
いつの間にか目の前に立っていたマフィアの首領。

「___ごめんねぇ、A君。だが、これもマフィアの為＿＿＿＿。」

首領__森先生はエリスちゃんを前に出したかと思うと鋭い視線を此方に送る。
中原さんを見ると少し苦し気な表情をしながらも忠告はしたぞと形の云い唇を動かす。
成程、偶然ではなく、___必然。此処で私を捕まえればこの戦争でかなり有利になる。

『ごめんなさい、森先生。』

『私、お父様がいない場所に興味なんてないの___』

『＿＿＿異能力【学問のすゝめ】……天変地異。』

最後に映ったのは森先生の笑み。彼はこうなることを予測していたのか。…はたまたまだ見ぬ私の異能を知るためなのか＿＿＿そんな事を考えながらも私は目を瞑った。