福沢諭吉の娘ですが。【文スト】 (ページ19)

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ギルドページ19

それって、本当？そう聞こうとした時へりこぷたーの騒音が耳を貫いた。溜まらずに驚き、窓から下を覗くと其れの中から3人のお客が出てきた。

「…先手を取られたね。」

そう呟いた太宰の横顔には少しの焦りが見えた。

_____。

その後お客さんの相手をしなければ、とお茶の準備に行ったがナオミに止められ大人しく事務所で資料を分けていた。
この間の営業凍結は優秀な事務員達のお陰で何とか成ったが次は分からないと慎重に作業を進める。

暫くして、社長室から賢二くんと御客様が出てくるので少し机を綺麗にして立ち上がる。流石に御辞儀くらいはきちんとしなければと一つ息を付くと聞き覚えの無い大声が聞こえた。

「おい、そこの銀髪の娘。」

『えっ、…はい！』

思わず戸惑うが銀髪は私と父様位しか居ない貯め直ぐに返事をする。目の前の男は私を上から興味深そうに見下ろすと成る程、と手を打つ。

「銀髪は珍しいと驚いたが君はプレジデント・フクナの娘か。」

『福沢ですね。』

そう返すとそれだ、と指を鳴らす。正直何故呼び出されたのか分からず首を傾げていると相手は笑いだした。

「いやぁ、すまない、すまない。君の顔何処かで見たこと在ると思ってな！」

「嗚呼、そうだ思い出した！…確か、14年前…」

その言葉にドキリと胸が鳴る。14年前、私が一番忘れたい年。段々と呼吸が苦しくなり近くにいた賢二くんが大丈夫ですか、と背中を擦ってくれる。

「ん？…嗚呼、すまないこの話は嫌いだったかい？なら人違いだな。だって……」

「____帰し給え。そう言った筈だ。」

苦しかった胸が少し軽くなるのを感じた。父様が来てくれた。助けてくれた。思わず父様の袖をきゅっ、と握り込むと父様は私の肩を抱き彼を睨む。

少し、笑ったかと思うと彼は高らかに言った。

「明日の朝刊にメッセージを載せる。よく見ておけ親友。」

____俺は欲しいものは必ず手に入れる。

そう言った彼の瞳に酷く脆い光を感じた。
けれど私はお父様の方も向けなかった。お父様の眼光が鋭く光っていたからだ。思わず肩がすくむがお父様の側だと安心だ、と客が去った後思わず抱きついたのは仕方がないと思いたい。

___

『……お父様。』

「……何だ。」

『有り難う御座います。』

「…気にするな。」