福沢諭吉の娘ですが。【文スト】 (ページ17)

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素敵帽子と包帯無駄遣い装置ページ17

その日の晩、そろそろお醤油が切れそうだったのを思い出し急いで買いに行く。勿論メイド服は脱いで。正直に言うとお父様を待ってから社を出た方が良かったのだが、乱歩君に苛ついていたので構わずに出てきてしまった。

…でも此れは………買いすぎたな。
袋を見ると一つは食材。もう一つは大量の和菓子。そうは言っても買った訳ではない。
なんでも行きつけの和菓子屋で大量に余ったらしい。其れで私がいつも大量に買って行くのでとハイ気になる筈の物を沢山くれた。

『…社員寮でも訪ねて配るかぁ。』

夜分だし迷惑だろうかと一瞬考えるが否、と首を降る。今はまだ午後の3時。この後料理と持っていけば多少は許されるだろう。

『……鏡花ちゃんも早く慣れると良いなぁ。』

そんな事を呟きながらも中島と鏡花ちゃんの話している様子を思い出しくすりと笑みを溢す。

そして、私は大切な事を思い出す今日、卵の特売日だ、と。不味い、斯うしては往けない。如何して、お父様を連れてこなかったのかお一人様一パックなのに！と唇を噛み締めるがもう遅い。

そして、スーパーに走っている途中で私は見覚えのある素敵帽子が見えた。

『中原さんっ！今、暇ですか？！暇ですねっ！！』

「え、お…おう？……任務は終わったがっておい、手前！！何処行ってんだよコレ！」

『卵の特売です！！』

「……はぁ？」

中原さんは太宰を何時も見ているあの目を私に向けてくるが取り敢えず知らん顔。よし、取り敢えず此れで２パック確保。後は誰か……

『居たぁぁぁあ！』

「うわっ、てAちゃん！と……蛙也。」

太宰さんは土手の近くで入水を試みていたが構う必要もないと、二人の腕を掴んで店へ走る。二人は少々の間睨み合っていたが、いつの間にか罵倒の仕合を始めていた。

「Aちゃん、この蛙也は必要なのかい？こんな、こんな奴使い道はないよ。…あ、私とAとゃんの当て馬担当かい？」

「ンな訳あるか！手前こそ当て馬だろうが！くさい台詞が上手だもんなァ？」

『二人とも違う！！いい？今から二人がお兄ちゃんで私が妹！！』

そう言い、私は両手を右手と左手を繋ぎ二人の前で頬の隣に持っていくと言った

『治お兄ちゃん、中也お兄ちゃん、在れ買って？』

____そう言い私が指を指した方向には特売に群がる人々の山があった。