【七種茨】最近副署長は社内デザイナーと仲がいい【あんスタ】

目眩 ページ30

「疲れた……………。」


時刻は21時。
副所長室は家主(？)がほとんど帰ってこないため、ほぼ私専用のデスクになりつつある。

紙と、コーヒーと、少し茨さんの匂い。
あと、たまに少しだけ甘い匂いがする。


たぶん、甘いもの好きで隠れて食べてるんだろうな…なんて妄想は、口が裂けても本人には言えない。




でも、ここ最近こん詰めすぎて、ジュンさんにも心配かけちゃったな。

凪砂さんも通りかかる度に「…無理はしないで。」と声をかけてくれるし、
この間なんて控え室のパイプ椅子で寝落ちしてたら目の前に「ちゃんと休むことが大事だね！」の付箋つきのお菓子が置いてあった。

みんな、直接関われなくても私を気にかけてくれている。


それだけで頑張れるなあ。




………よし、もうひと踏ん張り。


よっ、と立ち上がって、休憩スペースに向かう。
その時



＿＿＿＿＿ぐら



「＿＿＿＿？」



少しだけ頭が回った。


というか、右目の端が一瞬だけ暗くなった。




「な、なに……」




目眩？

久しぶりすぎて、わからない。

体が重い。

ダメだ、踏ん張れ。




「………………っ」





右足を踏み込み、なんとか体勢を持ち直した。

危なかった……


疲れてるのかな。

立ちくらみにしては、すこしぐらつきが強い。


今日はもう帰って休もう。
ライブも近いんだし、ここで体調を崩したら今までの努力が水の泡だ。


私は、休憩スペースを使わず、その足でそのまま帰路に着いた。

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