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5羽 ページ5

確かにこいつは表面上ふわふわしていて、人あたりもよく、いい人に属すのかもしれない。
女子っぽさも相まって、性的な抵抗を感じないのかもしれない。
でもだ、でもである。コイツは俺と二人になるとゲスでクソ生意気な人間性を現しているのだ。
確かに所々気が利いたり、イケメンではあるが、所詮はそいつも男子高校生。女子の前では出さないが、普通に下の方のネタで大爆笑するし、なんなら俺よりも下ネタが好きなぐらいある。
なのに、学校では「えっちな話とかしたことありませんし、嫌いです」とでも言うような顔で女子と芳香剤とか、刺繍とか、雑誌の話をしているのだ。
「女子よ、騙されてはいけない。人間には裏表があるものだ…」
「何いってんの?」
机にだらーんと肘と顔を広げながら心でブツサク頭の中で呟いてたら、その内容が一部漏れ出てたらしく、琥珀に白い目でみられた。ついでに、後ろに鞄を仕舞う途中だったまぁまぁ美人の女子にも白い目でみられた。
ちくせう。
いつの間にか朝の学習時間が始まり、昨日多かった宿題の終わらなかった一部を駆け足で終わらせ、あっと言う間に時計は朝学習の終わりの時間である8:20を指している。何かに集中している時の時間の進みの早さとは凄いものだ。多分今、ボルトが走り去っていくくらいの速度だった。それから一分ぐらいして担任の今年で45になる吉田が入ってきてホームルールが始まった。
最近、近くで不審者情報が出たとか、新学期で皆浮かれている事へのお叱りだとか、面倒な事をダラダラと喋った吉田は、時計を見て「気を付けるように」と適当に話をくくり早足に教室を出ていった。
そんなに大きいって訳でもないが、決して小さな訳でもないこの学校。
しかし、教師の数も多い訳ではない。一限目に授業でも入っていたのだろう。
1限目の国語までの休み時間の10分。授業準備をとっくに終わらせた俺は隣の席の琥珀を相手に、しりとりをする作業に勤しんでいた。
リトマス紙。四季。金属光沢。茎。……きょ、きゅ、きゃみたいなのアリ?。別にいいけど、まだ始まったばかりだろ。なんでそんな思い詰めた顔してんだ。理科縛りで行こうと思って。何故、縛るなら最初から縛れよ合わせるのに。いや、こーくんの知能じゃ絶対ぼくに負けるからぼくだけ縛ろうかなって。あ”?
そうやって、しりとりそっちのけの煽り合いが始まり、それが小突き合いに発展し始めたところで何時からか教室にいた国語の森田が「授業を始めるから席に着け」と俺達に促し、戦いは一時休戦となった。
りつよう!とやたらロリっぽいアニメ声が教室を通る。

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作者名:初夏卵 | 作成日時:2019年2月27日 21時

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