蕨姫花魁のお気に入りの遊女は……

カナヲちゃん？ ページ13

善逸視点


美与「あっ、Aちゃ〜ん！」


さっきまで、恐怖の音を出していた美与ちゃんは遠くの方にいる女の子の背を見て明るい声を出した。


後ろ姿だけでも、綺麗な子だと感じた。


駆けていく美与ちゃんの後を追ってその子の近くまで行った。


A「………」


善逸「えっ……カ、カナヲちゃん！？」


彼女の顔を見て俺は驚きのあまり知り合いの名前を呼んでしまった。


その子はしのぶさんの継子で俺達の同期の子とよく似ていた。


美与「カナヲ…？それ誰？」


美与ちゃんが不思議そうな顔をした。


一方でカナヲちゃんと似ている女の子は無表情。


善逸「あ…いや何でもない。知り合いと似てただけだよ」


彼女はカナヲちゃんとよく似ている。


けれど、これはカナヲちゃんの音じゃない。


この子からは感情の音がほとんどしない。


それにカナヲちゃんは笑顔だ。


この子のように無表情ではない。


美与「そうなんだ！この子はAちゃんだよ！」


善逸「Aちゃん。よろしくね。お、アタイは善子」


やばっ！俺って言いかけちゃった！


A「………」ｺｸﾘ


彼女は無言で頷き何処かへ行ってしまった。







美与「善子ちゃん、凄いね！Aちゃんは初対面の人の話とか無視する事が多いのに！」


善逸「そ、そうなんだ」


なんかAちゃん、カナヲちゃんにそっくりなんだけど。


容姿も性格も。


あの不思議な雰囲気までそっくり。

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